震災から1カ月、賃貸市場は正常化へ 逆風をバネに <1面から続く>
住宅新報 2011年4月19日 号 5面
補修でリフォーム増加
繁忙続く千葉・海浜エリア
その一方で、被災地に立地し一時的に稼動できなくなった工場の従業員を、被災しなかった別の工場に集団移転させるための大口法人需要が顕在化したのも特徴だったという。ただこうした需要も「そろそろ落ち付きはじめており、これからは震災復興を担う関東以西からの人材の逆流が見込まれる被災地方面での受け入れ準備の対応を急いでいる」ところだ。
埼玉県では、「3月に入っていよいよハイシーズンと思った矢先で、今期はシーズンがあったのかという感じだ」と語るのはマスト特約店の(株)市川不動産(埼玉県蕨市、市川廣利社長)だ。「(地震後)停電も多く2週間くらいは来店はほとんどなく、どこの不動産会社も停滞していたようだ。客足が伸びない賃貸を尻目にリフォームが増えた」のが救いだ。
「4月に入り少し上向いてはきた感じだが、それでも例年に比べると客足は少なめ。旅行も減っているというゴールデンウィークに少し期待している」と渋い答えだ。
東京・中野にある(有)ティ・アンド・エス(東京都中野区、高橋佐社長)は、「直後はさすがに客足が止まったが、目立って減ったというほどではなかった。一方で、賃貸管理物件の軽微な損傷などの復旧に追われた」という。
同社によると、「空室増加という賃貸市況の長期傾向は今後も大きな変りはないだろうが、大災害を機に新しい日本の姿を作るという気運が高まっている中で、住宅も更に安心に暮らせるような公的な支援を充実してもらいたい。日本の底力を発揮していくべきだ」との主張も聞かれた。
今回、首都圏で唯一、外房が津波、内房が液状化と大きな被害がでた千葉県では、局地的に震災需要ともいえる動きが見られた。エイチ・エイ・エス(株)ピタットハウス京成津田沼店(千葉県習志野市、鈴木均社長)では、「震災翌日には早くも仮住まい探しで来店が目立つようになり、本来4月に入ると客足も減り始めるところが4月中の土日は来店予約でいっぱい」と多忙を極めている。
「海(南)側方面で液状化被害があり、水道や電気・ガスもストップしたため、当面の仮住まいを手当しようという需要が早速表面化した」形となった。
液状化の被害がなかったエリアでも、「川沿いに住んでいるから、建物が老朽化しているなど様々な理由で物件を探しているケースが目立っている」と話す。「既契約の物件が復旧するまでの緊急避難先として借りるため、期間1年未満のものも含めて定期借家物件の人気がある」という。
民間賃貸住宅の支援の輪が全国規模で広がりを見せるなど今回の震災を機に、特需、実需を問わず民間賃貸インフラが社会的認知を高めた。一年で最も需要が顕在化するはずだったハイシーズン中に一時的な停滞を強いられたものの、震災というハンディキャップもむしろバネにして、賃貸市況は徐々に安定を取り戻しつつある。













