大言小語 悠久の桜
住宅新報 2011年4月19日 号 1面
桜前線が北上している。東北の人たちは今年のサクラをどんな思いで眺めるのだろうか。樹齢千年といわれる福島県三春町の滝桜は、今年も無事に花を咲かせた。長命の品種、エドヒガン系の枝垂れ桜で高さ13メートル、幹周り9メートル、枝張り南北18メートル・東西22メートルもある。満開になると枝から流れ落ちる滝のように薄紅色の花が咲き匂う。
▼サクラの品種としてよく知られるソメイヨシノは、このエドヒガンザクラを母種とし、オオシマザクラとの交配によって生まれた。しかし、その寿命は60-100年と短い。人の手によって品種改良され、種子ではなく接木や挿し木によってしか繁殖できないことが関係しているようだ。美しく咲き、人を楽しませるために生まれてきたサクラだから、その寿命も人間に近いのか。
▼「天災は忘れた頃にやってくる」と言ったのは寺田寅彦である。随筆家として知られるが、専門は地球物理学。大正12年、45歳の時に関東大震災に遭遇。直後に友人に宛てた手紙で「徳川時代にも今度我々がなめたのと同じ経験をしている。それを忘却して勝手なまねをしていたためにこんなことになった」と嘆く。













