ひと 軌道に乗るまで忍耐 「戸部マネジメントオフィス」代表の若手マンション管理士 戸部 素尚さん
住宅新報 2011年3月29日 号 2面
05年度のマンション管理士資格試験に、25歳で合格した。44歳という合格者の平均年齢を見ても、飛び抜けて若い。
マンション管理士の仕事を一言で表すと、顧問契約を結ぶ管理組合のサポート。具体的には、理事会前に管理会社と共に資料内容を精査するほか、マンションが個別に抱える問題に対してアドバイスする。例えば、大規模修繕。ちょうど1年前に携わった。
それは築37年、総戸数500戸余りの大型物件だった。塗装が剥がれてサビがむき出しになり、周囲からは『おばけマンション』とささやかれる外観。単に補修するだけでなく、そんなイメージを払しょくしたい。居住者の夢は膨らみ、外壁の色彩検討委員会も結成された。
ところが、すべての要望を反映させるなら積立金額では到底足りず、借り入れをしなければならない。加えて数年後には、エレベーターが改修期を迎える。それら事実を1つひとつ説明し、積立金に余裕を持たせた工事範囲に収めることを提案した。そして、手すり交換や外壁・鉄部の塗り直し、地デジ対応など、そのマンションが本当に必要とする工事を選び抜いた結果、住民に満足してもらうことができた。「マンションを船に例えると、船長が理事長、自分は航海士。航路を誤らないよう、導くのが役割だと思っています」
もちろん、航海士には相応の知識が求められる。当初は些細な質問にも即答できず、『課題』として持ち帰る日々だった。悔しさをばねに、大学で専攻した法律に加えて建築、会計知識の習得にも励んだ。最近は課題もその場で解決できるようになり、成長を素直に実感している。
同様に、業界全体の水準向上も望む。昨今は勉強意欲の高い管理組合が増え、それに伴い求められる業務の質も上がっているが、「管理士の資質を底上げするには良い環境」と前向きだ。これからマンション管理士を志す人に対しては、「営業もしにくく、すぐに食べていくことは難しい」としつつ、「とにかく忍耐。勉強と、仲間内での情報交換を欠かさないこと」とアドバイスを送る。
(鹿島
香子)













