片付けられない人のための20のこと 第10回 居心地のいい場所を取り戻す
住宅新報 2011年3月22日 号 23面
数多くの片づけの相談を受けて手伝ってきた私ですが、その現場で初めて声を失いました。荒れ放題、散らかし放題で、言葉が出ないのです。驚いたのは、相談者が、そのことに気づいていないのです。○子供達への悪影響
佐々木克子さん(仮名)は、幼稚園と小学低学年の2人の子供を持つ、35歳のお母さん。湘南の瀟洒な12階建てマンションの5階ですが、ドアを開けると玄関までモノがあふれ、靴を脱ぐこともできません。「私の後についてきて」。いつも通るところだけ、細い路地のように道ができています。モノを踏み越えて、ようやく奥の座敷にたどり着きました。家族4人の布団が敷き放しですが、克子さんは気にしません。
私に指摘されて初めて、自分が「片づけられない症候群」だと、知りました。「今、片付けようと思っていたところなの」と、出てくるのは言い訳ばかり。
部屋を見渡すと、段ボール箱が空なのに、そのまま積まれています。よく見ると、子供のおもちゃや洋服が出てきました。
「くださった方に悪いから」と、捨てられません。その一方で、ネット通販や雑誌などで、リフォームのイメージを膨らませ、注文ばかりしています。
「モノを買うより、片づけが先よ!」。私は、思わず声を上げてしまいました。「自分は、こんなはずじゃなかった」と、初めて、本心を打ち明けました。
「あの洋服も、このハンドバッグも、私が仕事に戻った時に必要だから」捨てられず、部屋が狭くなり、居心地が悪くても我慢するというのです。しかし、流行や体型の変化をみると、とても着れたものではありません。イメージに縛られる克子さんを現実に戻してやることが大切です。
「『片づけられない』は、子供たちに影響するわ」。私はやんわりと、子供への悪影響を指摘しました。
「自分にとって快適な空間って、どんな部屋?」。克子さんの想像力を膨らませるようにイメージ通りのリフォームを実現するように、一緒に考えてみました。
要らないモノを積極的に捨て、新しいモノを買わずに、家具などの配置を替えました。置き場所が違うだけで、空間が生き生きしてきます。○うつ的症状消える
「こころが穏やかになった」。克子さんは、居心地のいい場所で平穏な気持ちを取り戻しました。そして、子供への躾も口にするようになりました。
「片づけられない人たち」の中には「うつ的な症状」の人がいます。理想と現実の狭間で、現実から逃げたいと、片づけを怠るようになる。自分では気づいていない。そういう人には、「居心地のいい場所」に戻してやることが大切です。そうすると、「うつ的な症状」が消えてしまうこともあります。













