片付けられない人のための20のこと 第9回 賞味期限と生活期限は違う
住宅新報 2011年3月8日 号 15面
○家事に不向きな設計
「片づけたい」という相談者のお宅を訪ねて、「どこを?」と、私は戸惑ってしまいました。東京下町の7階建てビル最上階のペントハウス住む主婦の小林里美さん(41、仮名)は、町を見下ろしながら「生活感がない」のが悩みです。ご主人とは二回りも違い、話もすれ違いばかり。5歳の子供は、話し相手にはなりません。
「2年前にリフォームした」という部屋は、どこにも問題はありません。ところが、小一時間ほど過ごして、私は里美さんの悩みがなんとなくわかりました。「生活感がない」のは、部屋の使い勝手が悪いからです。動線、収納など主婦の家事には不向きにデザインされています。
「片づかない」という里美さんの不満は、収納スペースにありました。ご主人の仕事柄、贈答品が多いのに加え、里見さんが通販で買い溜めして収納できないモノが部屋全体に溢れています。デザインはいいが、生活の機能を無視しているのではないかと、私は思いました。使ったモノが元の位置に戻せないのです。ご主人と設計家がリフォームした男の仕事には、女性への細かい配慮が行き届いていないのかもしれません。一方、里美さんにも問題があります。ストレスのために衝動買いしたモノを溜め込んでいました。
「賞味期限が切れているわけではないので、捨てるわけにはいかない」と、買い溜めした食品や、生活用品を溜め込んでいます。
「溜め込んだモノは不要じゃないの?
置いておくだけで、邪魔になり、それが里美さんのストレスになっているのでは…」
モノには賞味期限があるが、生活期限もあることを、里美さんに話しました。「生活期限って?」
買い溜めしたモノが使うこともなく、結局、賞味期限が切れて捨てられることになっているのではないか。それが部屋を狭く感じさせ、窮屈さがこころ苦しさにまで達してしまっているのではないか。モノが生活空間と生活許容量をオーバーしている、ことを説明しました。○すべてが見えるように
その後、プチ・リフォームを勧めました。すべてのモノが見えるように、隠さないようにすることで、モノのあり場所を見届け、使い道さらに賞味期限を確かめて使い切って、生活期限を守るようにアドバイスをしました。
「主婦の目線でリフォームしたので家の中がスムーズになり、片づくようになりました」と里美さん。結婚前にやっていた仕事(ネイリスト)に復帰したい、という願望も叶いました。













