田原祐子が教える-- 部下をやる気にさせる 究極のマネジメント力(17)
住宅新報 2011年3月1日 号 7面
職場共通の価値共有がマネジメントの基本形
『枠』『軸』『船』のツールもあります
職場では、20代の若者から60代以上の熟年の世代まで、様々な世代の人間が一緒に働いています。当然ながら、仕事に対する価値観も、仕事という役務の対価としての金銭感も異なるため、マネジメントはかなり難しいものです。
それに加えて、日本では、仕事に対する独特の慣習があります。以前読んだ「日本人の価値観」に関する書物の中に、興味深いアンケート結果が載っていました。「職場の中で、上司に従わなくてはならないと思うか?」というアンケートに対して、「上司に従うべきである」という回答は、日本は諸外国の中でも最下位に近いランクでした。一方でアメリカは第2位なのです。アメリカ社会では絶対的な上司命令
「日本人は忠誠心が強い」と思い込んでいた私にとっては、かなりショッキングで、この本を読んだ当時、ある外資系企業でアメリカ支店長を長く務めた方に事情をたずねました。すると、アメリカでは採用時に職種を限定して応募し、能力至上主義であるため、その仕事ができなければ即刻クビ。ボスの命令を聞かない者など言語道断なのだといいます。対する日本は、総合職として採用後、様々な部署に異動になるため、苦手な部署に配属になっても、「次の異動までの我慢」と決め込み、当たらず障らずのスタンスで仕事に臨む者が多いとのこと。「日本でマネジメントは難しい」のは、これが理由だとその方は教えてくれました。そのため、職場では、「言うことを聞く、聞かない」「仕事をやらせる、やらされる」などといった、意味のない揉め事が多発しています。基本のツールで価値観の共有を
こうした状況を払拭(しょく)し、社員が心をひとつに合わせるため、職場では様々な研修や、時には「心の勉強会」なども開かれています。私は、こうした状況を打破し、職場全員が気持ちよく働くため、また、職場全体で共通の価値観を持っていただくため、『枠』『軸』『船』という基本のマネジメントツール(考え方)をもとに研修を実施しています。
枠は、その人の持つ価値観のこと。軸は、物事を考える芯となる柱。船は、その時に属している場のことを表します。
自分と他人の価値観である『枠』は、人それぞれ異なるものだと知り、お互いに相手のことをおもんばかり、受け入れ、譲歩し、時には自重すること。また、上司も部下も、職場では何を柱である『軸』として判断すればよいかを理解し、適切な行動を取ること。そして、職場は言わば『船』であり、船員である社員が心を一つに合わせれば力強く前進するが、船員の誰かが異なる方向を向いたり、逆走すると船は失速し、最悪の場合には沈没(倒産、解体)することを知ること。こうした、誰にでも分かりやすい『枠』『軸』『船』というマネジメントツールを使いながら、社内の基盤となる研修を進めて行きます。
職場の全員が毎日仕事に全力で臨むため、人間関係のいざこざに悩まず業務に集中できるようあらかじめこうした考え方を共有化しておくと、マネジメントをスムーズにする下地ができます。
次回は、「社内の実績をアップさせる、科学的かつ効果的な営業法」について、お話しします。
(たはら・ゆうこ=ベーシック代表取締役)













