不動産取引現場での意外な誤解 売買編(29) 建基法違反の物件を仲介したら業法違反になりますか?
住宅新報 2011年3月1日 号 6面
Q
長い間不動産の取引を行っていると、中には、初めから建築基準法違反の新築物件に出会うこともあります。このような物件について、仲介をした場合、仲介業者が宅建業法違反に問われることはあるのでしょうか。A
あります。その場合に適用される条項としては、宅建業法65条1項3号の規定(他の法令に違反し、業者として適当でない場合に処分の対象になるという規定)になると思います。本件のようなケースの場合には、建築主(売主)等が建築基準法に定められた行政当局からの是正措置命令を受ける可能性が高く、もし貴社が違反建築物であることを知って仲介していたならば、同法9条の3の規定により、その違法仲介の事実が貴社の免許権者(都道府県知事等)に通知され、先程の宅建業法65条1項3号の規定に基づいて処分を受けることになるからです。Q
建物が完成した後に売却する依頼があった場合には、どうなのでしょうか。A
竣工検査を受けた後に手を加える場合と、最初から検査を受けないことを前提に売却する場合とでは、かなり情状に違いが出てくると思います。いずれにしても、そのような物件の仲介はやめるべきです。Q
かなり築年数の古い違反物件の場合には、それでも仲介はやめるべきですか。A
そうとは申しません。しかし、いずれにしても、違反建築物であることには変わりはありませんので、仲介する以上は、違反の事実のほか、そのリスクについて買主に十分説明し、また、そのリスク分を売買代金等で調整するなどの業務上の配慮が必要でしょう。Q
もし、宅建業者が違反建築物であることに気が付かず、また、依頼者からもそのことを告げられないで仲介行為を行った場合、宅建業法65条1項3号の適用はあるのでしょうか。A
その場合には、「他の法令に違反し」という故意の要件を満たしていないので、同条の適用はないと考えてよいでしょう。ただ、その物件が、ちょっと注意をすれば違反建築物であることが分かるようであったとすれば、65条1項3号は適用されないとしても、35条の重要事項説明義務違反あるいは媒介契約上の債務不履行などに問われることがありますので、注意が必要です。(渡邊不動産取引法実務研究所
代表
渡邊
秀男)













