知って得する建物の豆知識 (56) 間戸(まど)
住宅新報 2011年3月1日 号 4面
建築設計を行う時、窓や開口部というのは特別な意味を持つ部位です。最近のように、敷地が狭隘化して建築を遠くから望むことは少なくなり、もっぱら近景のデザインをせざるを得ない場合が多くなると、窓や開口部のデザインが外観の決め手ともなるからです。「影」味わう日本建築
伝統的な日本建築には「窓」という感覚が乏しいと言われています。柱や梁などの「線の材料」で組み立てられる空間には、西欧建築的な「壁」という概念が希薄です。むしろ、日本的な空間の美しさは「影の量」にあります。例えば、水に映る水草のにじんだような薄い影から、五重塔や大仏殿軒裏の圧倒的なボリュームで迫る濃い影まで、影のグラデーションを理解しそれを味わう「影をコントロールする文化」が、日本の視覚・感覚史に流れているように思います。
このような一種曖昧な空間を仕切る開口部を言い表すには、空間を軽く仕切る要素として「間戸(まど)」という言葉の方が、ふさわしいかもしれません。













