木造系ハウスメーカー 非住宅分野を積極化 老人ホームや保育園 「木材利用促進法」追い風に
住宅新報 2011年2月15日 号 11面
木造住宅メーカーが老人ホームや幼稚園など非住宅分野の木造建築事業を積極化している。専門部署を設置し、受注体制を整えた。これまで鉄骨造りやコンクリート造りが主流だった分野。少子化や世帯数の減少などで戸建て住宅市場の回復が見込みにくい中、新たな収益の柱として拡大していく。背景には昨年10月に、構造や内装への木材利用を促す「公共建築物木材利用促進法」が施行されたこともある。
2×4工法大手の三井ホームはこれまでに、非住宅分野として診療所や有料老人ホーム、保育園など累計(09年度までの集計)約110棟を建築してきた。昨年春、事業を強化していくための体制を整えた。
同社は、「Gフレーム構法」や、「コネックトラス構造」、剛性の高い構造材「Iジョイスト」といった大開口、大空間をつくる独自技術を持つ。これらを活用して医療・福祉施設、保育園のほか、店舗や集会所なども積極的に伸ばしていく方針だ。「木造はコンクリート造りと比べて工期や減価償却期間が短い。こうした経済性や、ぬくもり、衝撃吸収力など素材が持つ特性をアピールしていく」(高山康史・開発企画本部業務推進部業務企画推進室長)。
また、住友林業も昨年4月、不動産事業部内に「特殊木造開発チーム」を設置。これまで現場ごとに行っていた大型木造建築対応を1カ所にまとめた。
「緑化」ならぬ「木化(MOCCA)」をコンセプトとして掲げる。構造や内装など木を使った空間を増やしていく戦略だ。
現在、東京都大田区で有料老人ホームのプロジェクトが進行中。国土交通省の「木のまち整備促進事業」に採択されたもの。耐火構造3階建て。3月に着工し、11月には竣工する予定だ。
木造の耐火建築物は、せっこうボードなどで構造材を被覆するため、完成すると「木造らしさ」が見えにくい。同開発チームの杉本貴一氏は「手で触れ、目に見える部位をできるだけ木質化していきたい」と話す。大田区の物件では外装を木質化し、内装も国産の木製部材を採用する計画だ。現在、耐火建築物で使用できる内外装材の開発に取り組んでいる。
大規模な建物や多くの人が利用する建物には、建築基準法上、耐火構造が求められる。00年の建築基準法改正で木造建築でもコンクリート造などと同等の防火性能を持つ建築物とすることができるようになった。04年には日本ツーバイフォー建築協会が、その2年後には日本木造住宅産業協会が耐火構造大臣認定を取得。防火地域での100平米を超える建物や特殊建築物など規模や用途の幅が広がった。ただ、従来のコンクリート造のイメージが強いこともあり、木造化が進んでいなかった。
木造化を後押しする動きも出ている。昨年10月には「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律(公共建築物木材利用促進法)」が施行された。国や地方自治体が整備する建物のほか、学校や老人ホームなど民間建築物の木造化を促進する。内装などの木質化も図る。木材の需要を拡大し、林業、木材産業の活性化、木材自給率の向上につなげていく。同法施行を受けて現在、国土交通省の官庁営繕部は木造施設の技術基準を作成している。2月末頃までにまとめ、地方自治体に周知していく予定だ。
三井ホーム、住友林業両社とも同法を「追い風」と見ている。ただ、国や自治体が発注する建築物は入札制度もあり、営業体制や施工の順序、監理方法も従来とは違う体制を整える必要がある。両社ともまずは民間の大型建築物の受注を進めていく。国や自治体が建てる公共建築物については、人材育成など受け皿体制を整えてから取り組む方針だ。













