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スタンダード会員限定高まるリスク・未曽有の不況 転機の不動産業(中) 迫られる構造転換

住宅新報 2009年2月17日 号 1面

 銀行による信用収縮が止まらない。2月5日、東証1部上場の日本綜合地所が破たんした。

 ゼネコンに支払うマンション建設資金32億円の資金繰りに行き詰まったのが直接の要因だ。08年3月期決算(連結)では1189億円を売り上げ、経常利益105億円、純利益46億円の過去最高益を出していた会社である。

 「(それぐらい)マンション市況の変化が急激過ぎた」(西丸誠同社社長)ことは確かだとしても、過去最高益の決算から1年を経ずして破たんに追い込まれてしまう不動産業に対する疑問は根深い。

 多額の銀行借入に頼らざるを得ない開発・分譲事業が、常に市況変動リスクにさらされていることは従前から言われてきたことだ。

 ということは、東証1部企業だけでもゼファー、創建ホームズ、アーバンコーポレイション、シーズクリエイト、クリード、そして日綜地所と不動産会社の破たん劇が続いたが、それは単に市況を見誤っただけということなのか。

 問題の本質は、金融との関係にあるのではないか。

 日本土地建物の中島久彰社長は「これからは過度の借入金に頼らず、資産を回転させて調達した資金で新たな投資を行っていくことが財務の健全性の観点から重要」と指摘する。

 これを分譲マンション事業にあてはめれば、一度に多くの用地を仕入れるのではなく、市況の急変にも耐えられる量に抑え、一プロジェクトごと着実に収益を確保していくスタンスが求められることになる。

 「上場企業の倒産が深刻さをかもし出しているが、10年前は東証1部上場不動産会社の数は今の半分以下だった。上場基準に問題があったのではないか」(業界関係者)との厳しい見方もある。その正否はともかく、上場によって売上高と利益の拡大を急ぎ過ぎた面があったことは否定できないだろう。倒産しにくい仕組みを

 金融と経済のグローバル化、所得格差の拡大などで今後、不動産市況の変化は一層そのスピードを増す恐れがある。

 そうした時代には分譲事業だけに走るのではなく、状況を見て安定収益部門に力を入れるなど「倒産しにくい仕組み」が不動産業に求められる。

 しかし、「大手はともかく、中堅が市況を見てマンション販売をしていた部隊を賃貸など他のセクションに回すことなど不可能」といった声が圧倒的に多い。

 では、どうすればいいのか。皮肉にも今年10月、住宅販売会社に対する「瑕疵担保履行責任確保法」がスタートする。これがモラルハザードにつながるようなら本末転倒である。万一、分譲会社が倒産しても瑕疵による損害は担保されている訳だから。

 一生で最大の買い物となる住宅を販売する会社には、顧客に対する大きな社会的責任がある。それが、「そう簡単には倒産しない」ということだろう。

 今回の不況で業界がもたらした最大の不幸は、値下げ販売という名の「価格の瑕疵」である。

 一旦売り出した価格から数百万円もの値引きを一斉に始める例が今も続く。先に購入した客に差額を返還すればいいというほど単純な問題ではない。

 「売れ残ったら安くなるのであれば、それまではだれも買わなくなるのでは」(業界関係者)との指摘も不気味さを増す。「新築の価格は信用できない。中古市場でこなれるまでは買わない(同)というユーザーの出現も予想される。

 一方、東急電鉄はこのほど、新たな賃貸住宅ブランド「スタイリオ」を立ち上た。「安定的かつ継続的収益を確保し、社の持続的成長を実現する」(同社広報部)のが目的だ。同社の不動産事業はこれまで、社有地を活用したマンション・戸建て分譲などがメインだったが「人口の質的・量的変化を先取りする」(同)ため不動産賃貸事業に本格参入する。

 同社顧問の大川陸治氏もこう指摘する。

 「鉄道という大インフラを持つ企業は人口の動態変化に機敏でなければならない。かつて通勤基地として利用していただいた沿線の高齢者に、新しいライフスタイルを提案するとともに、通勤インフラをいかすためには引き続き子育て世代の流入を図る必要がある」

 確かに、業態の大きな転換には障害が多い。しかし、住宅は生活の基本インフラである。それを供給している不動産会社もまた、市況の変化と国民のニーズを機敏に受け止めなければ生き残れない。

 (本多

 信博)

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