片付けられない人のための20のこと 第7回 「いつか使う」は二度と来ない
住宅新報 2011年2月8日 号 15面
□モノに埋もれた生活
それは唐突な電話でした。「テレビを見ました。先生、相談に乗ってください」。声や話し振りから、年輩の女性だと思いました。
「娘がいまテレビで、片付けの先生が話しているから、電話しなさいって…」
83歳の中田サチさん(仮名)は、「片付けが出来ない」と、近くに住む娘さん(58)に日頃から小言を言われていました。お会いすると、電話での印象と違い、しゃきしゃきとして、しかもお洒落です。
サチさんは東京近郊の3DKのマンションに一人暮らしで、買い物から食事の支度まで自分でされています。ところが、玄関を開けて驚きました。床からひざまでモノで埋まり、部屋へ入ることも出来ないほど乱雑なのです。
サチさんは、部屋の片隅でモノに埋もれて寝起きしていました。クローゼットにはブランドの洋服やバッグが詰まり、テレビに行き着けず、リモコンで操作。料理は出来ないため、出来合いの惣菜を電子レンジで温めて食べる日々が2年も続いています。
「なぜ、こんなになるまで片付けなかったの?」
様子を見に来た娘さんと、「捨てる」「捨てない」でひと悶着がありました。
「いつか使う、何かの時に使おうと思って捨てられなかった」と言います。
「何年も使ったことがないモノは、二度と使うことはないと思いますよ」と、私はまず、不要であるモノと使い途があるモノを仕分けました。
不要なモノをサチさんに断って捨てました。マンションのゴミ置き場はそれだけで一杯になり、翌日も捨てる作業が残っています。驚いたのは、捨てたはずのモノを持ち帰ってきたり、「あの箱にあった洋服はどこへ?」と、すべてのモノの場所を覚えていたことです。3日目にようやくベランダまで見えるようになりました。□いまを基準に整理
「不要なモノが身の周りからなくなって、気分がすっきりした」
実は、サチさん自身もかなり気にしていたのです。部屋にパイプを吊ったり、収納場所を設置して整理するとようやく部屋全体が見えてきました。
「いま使うモノ」「いま必要としているモノ」「いま必要としないモノ」。サチさんに「いま」を基準に選び、「いつか」「何かの時」があるかどうかを見極めることが大事だと話しました。
サチさんは、「これから使うかどうか」でモノを仕分け始めました。片づけは、過去の整理ではなく、明日が見えてくることだと、私は思いました。













