60歳からの住宅ローン【リ・バース60】累計申請件数1万件突破

様々な不動産情報が盛り沢山!

スタンダード会員限定社会を読む「不動産学」-明海大学 第22回 債権法(2) 「賃貸借における信頼関係」

住宅新報 2009年2月17日 号 12面

 不動産の賃貸借については、古くから特別法で賃借人が保護されてきた。特別法とは、一般法より優先的に適用される法律のことである。民法にも賃貸借契約に関する規定があるが、そこでは、賃貸人と賃借人とが互いに対等な立場で自由に交渉して契約をするという関係を前提としている。

 とはいえ、例えばある大企業が、IT部門を強化するためビルの10フロア分を一括借り上げしようとして契約交渉に入ったとしたら、対等に条件交渉もできるだろうが、ほとんどの場合はそうではない。賃借人の立場が圧倒的に弱い。

 なぜなら賃借人は、借りなければ生活場所がない、営業場所がない、耕作地がないのに対して、賃貸人は、他人に貸せる不動産を持っている。

 賃借人が条件交渉できる余地はほとんどない。不満のある賃借人候補者とは契約をしない自由が、賃貸人にはある。これを相手方選択の自由という。契約自由の原則の具体的内容の一つだ。

 民法ではこの前提が貫かれており、これは特別法でも同じである。特別法では、賃借権の保護、契約期間と更新、賃借人の権利の強化などが規定されているが、それ以外の点については、一般法である民法に戻り、賃貸人と賃借人はあくまで対等、ということになる。

 さらにこの特別法だが、平成3年に大改正され(同4年に施行)、これを通称「新借地借家法」と言っているが、その後も改正されており、最近の改正は平成19年。

 法律不遡及の原則により、改正前に成立した賃貸借契約については改正前の法律が適用されるので、現在、日本では、旧法と新法、かつ改正前と改正後とが混在する状況だ。そしてもちろん、民法が背後に控えている。

 では民法は改正しないのか。条文を口語にするなどの大改正が平成16年にあったが、賃貸借の分野では大きく変わらなかった。というのは、この分野は判例で条文解釈を行っていることがある。例えば民法612条だ。条文にはこうある。

 「第1項

 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。第2項

 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。」

 これをそのまま読むと、例えばこうなる。ワンルームマンションを借りている大学2年生の兄が、受験のため上京してきた浪人している弟に2か月間部屋を貸して、自分は春休みであちこち旅行に行ったり泊まり歩いたりして、授業が始まってから戻るつもり。

 これは又貸しだ。だがこれをいちいち大家さんに言うだろうか。言って承諾を得られなければ部屋を出て行かなければならないわけだ。

 ならば言わずに、ばれずに授業開始までに戻ってくればいいのか。ばれるなと弟に言い含めておけばいいか。しかし受験生だしな。などと、法律を半端に学ぶとつまらない間違いに陥る可能性がある。なまじ条文など見なければ、「弟なんですよ。受験で」と素直に言えたかも知れない。

 実は本当にその通りで、判例では条文に解釈を加えて判断している。賃貸人の解除権を制限するのだが、信頼関係破壊の理論と呼んでいる。

 要するに、賃貸人に無断で賃借物を又貸しなどしても、ワンクッションかませるのだ。直ちに解除されてしまう場合とは、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が壊れた時に限るとする。

 賃借人に背信的行為、つまり、賃貸人の信頼に背くような行為があった場合にしか、賃貸借契約が解除できないとしている。

 これは、賃貸借契約が信頼関係に重きを置くことに由来するといえる。売買契約とは異なり、契約期間が長期に及ぶこともある。互いに信頼がなければ成り立たない。

 (明海大学不動産学部准教授

 浜島裕美)

求む!買取物件 価値ある中古不動産の売買はムゲンエステート住宅新報別冊 不動産テック.BIZ Vol.14 最新号発行 不動産×ITの最新トレンドをお届け会員会社(賛助会員を含む)のプレスリリースを一元的に集約・掲載する情報発信サイト マンション管理プレスリリースセンター

関連サービス