田原祐子が教える-- 部下をやる気にさせる究極のマネジメント力(14)
住宅新報 2011年2月8日 号 7面
人を動かす「愛情」は心底思う気持ちから
相手にはその真偽が伝わります
部下に限らず、自分以外の「人を動かす」ことは、大変難しいものです。野球監督なども、素晴らしい実績を残した選手が良い監督になるかと言えば、必ずしもそうではありません。
その理由は、仕事ができる人ほど「自分ができるのに、おまえができないのはなぜだ?」といった、『上から目線』で物事を見てしまいがちになるからです。相手と同じ目線でなく、「上の立場」であるため、相手に合わせることを「負けた」と感じたり、「甘えさせてしまう」と思いがちで、なかなかうまくいきません。
これまで、この連載でも、「人を動かす」ことについて、いろいろな考え方をご紹介してきましたが、実は、最も簡単に成果が出るが、それでいて最も難しいのが「部下に愛情を注ぐ」ということです。
愛情と言うと、生ぬるいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、たったひと言のちょっとしたアドバイスでも、「相手のことを心から思って発した言葉」と、「相手をコントロールしようと思って発した言葉」とでは、全く効果が異なります。恐ろしいことに、愛情から出た言葉か否かは、しっかりと相手に伝わってしまうのです。
愛情は、相手にどっしりとした安心感を与え、うわべのやさしさでは築けない『真の信頼関係』を築いていきます。愛情で伸びる
私は、部下育成は、まさしく「子育て」と同じではないかと考えています。「三つ子の魂百まで」という言葉もあるように、小さい頃の育て方が、その子の人生までをも左右してしまうものです。
例えば、小さい頃から親の愛情をしっかり受けた子供は、学校でいじめられることがあっても、いつも「見守られている」という『心の拠りどころ』があるためか、最終的には事なきを得ることが多いものです。そして、自分の力をどんどん伸ばすことができ、少々挫折するようなことがあっても、人生を伸びやかに生きていくことができます。
しかし、逆のケースでは、子供自身の心の不安定さが、他の子供への攻撃や、自虐的な方向に走らせてしまい、自らが「生きたい」という生きる力までもが弱いように感じられてなりません。
また、愛情をかけることと、甘えさせることは異なります。愛情とは、相手の望むようにすることでも、目に余ることを見逃すことでもなく、時には、相手を思い切り付き離すことでもあります。要は、そうすることが、「相手を思う気持ちから発しているか否か」だけの違いなのです。そう考えると、部下マネジメントは、上司や経営者自身、「愛とは何か」という本質的なところまで、掘り下げて考えてみなくてはならないのです。
日々の忙しさに追われて、表面的なこと、目先のことばかりに追われてしまいがちですが、マネジメントとは、「自分自身と深く向き合うこと」でもあるのです。
次回は、「上司自身のストレスを取る方法」について、お話しします。
(たはら・ゆうこ=ベーシック代表取締役)













