不動産・新戦略 三英堂商事社長 上村岩男氏に聞く 高齢者施設で躍進 世界同時不況を追い風に
住宅新報 2009年2月17日 号 12面
介護付き有料老人ホームを現在7棟運営している三英堂商事(東京・渋谷、上村岩男社長)は今年、新たに有老ホーム1施設と初のグループホームを開設する。来年初めにはグループホームの2弾、3弾もオープンの予定だ。順調に施設が拡大している背景には皮肉にも世界同時不況がある。企業のリストラで独身寮などが閉鎖され、新たな活用が求められているからだ。「わが社にとって、今は追い風」と断言する上村社長に攻めの戦略を聞いた。
(聞き手・本多
信博)
--7番目の有老ホームとなった「ソフトケアホーム春日部」はM&Aで取得したのか。
「正確には企業を買収したわけではなく、施設を運営していた会社から営業権を譲渡してもらった。施設のオーナー(土地所有者)はそのままだ。昨年12月に引き継いだときは40床の施設で3-4人しか入居していなかったが、現在は23人。もちろん、入居条件などはなにも変更していない」
--入居者が増えている秘密はどこにあるのか。
「施設の雰囲気がよくなったからだ思う。それは私たちが提供するサービスの質が違うということだ。入居者に対し感謝と尊敬の気持ちを忘れないで真心のお手伝いをしている」
--施設数は今後も拡大していくのか。
「今年7月には京王線の聖蹟桜ヶ丘で有老ホームが、11月には江東区でグループホームがオープンする。いずれも従来のように独身寮などからのコンバージョンではなく、地主に施設を建ててもらう」
--建物の利用契約は。
「20年の借家契約だ。当然、更新されていくことになる。地主にとっては、普通のアパートやマンションを建てて経営していくよりも、20-30年先を見越しても安定した収益が確保される」
--高齢者施設は自治体による総量規制で開発が難しくなっているのでは。
「その通りだが、市場調査を行ってみると需要に対して十分な供給がなされている地域もあれば、極端に少ないところもある。そうした狭間を狙えば、まだまだ開発は可能だ」
「それから、当社の戦略としては春日部のように営業譲渡による取得を増やしていきたい。高齢者施設ビジネスは本格的淘汰の時代に入って、今後はM&A的な動きが活発化するからだ。自治体も、営業不振に陥っている施設を引き継いでくれる企業は歓迎だ」
--独身寮など既存の施設をコンバージョンする手法が得意だが、情報量は増えているのか。
「増えているどころか、急増しているというべきだろう。つい先日も埼玉で自動車会社の独身寮が大量に閉鎖となり、オーナーの地主から当社に相談があった。自動車に限らず、製造業のリストラが進むなど世界同時不況をきっかけに土地活用も大きく構造変化していくと思う。高齢者施設は少なくとも今後30-40年は間違いなく需要が伸び続ける。今は、わが社にとって追い風だ」
--長期に安定して収益が上がる土地活用を求めている土地所有者にとって高齢者施設の建設はリスクが少ないと。
「普通の賃貸住宅は若年層の減少などで競争は激化する一方だ。新築から2-3年は満室になっても、その後は常に空室対策に追われる。高齢者施設なら建設費に公的補助を受けられるものもある。あとは、実績があり信頼できる運営会社を選ぶことが重要だ」
--約10年前、サブリースなどの不動産業から介護事業に参入したが、現在の売り上げシェアは。
「今期中に初めて介護事業が不動産業を上回ることになりそうだ。銀行の見方も不動産業からサービス業になる(笑)。当面、20施設ぐらいを目標に増やしていく」













