ひと 市況の真実を伝える 本紙「中古マンション価格」のデータ元 東京カンテイの主任研究員 井出 武さん
住宅新報 2011年2月8日 号 2面
本紙流通面で連載中の「東京カンテイ中古マンション価格」が、600回を迎えた。その開始当初から、情報を分析・加工する市場調査部に在籍し、現在は主任研究員を務める。
不動産業との関わりは、89年、日本高層住宅協会(現不動産協会)に身を置いたのが第1歩。そこで180超の会員企業から新築マンション情報を毎月集め、平均価格や面積などの個別データをレポートにまとめる作業を長年手掛けた。おかげで、「いつ、どこにどんなマンションが供給されたか、今も大体頭に入っている」。
『市場調査のプロ』を初めて自覚した出来事を、はっきりと記憶している。バブル崩壊後の94年、『新築価格は下げ止まりつつある』という見方が業界に広がり始めていた頃だ。数字を見る限りでは確かにその通りだが、本当に『落ち着いた』と言えるだろうか。細かく調べると、供給が価格水準の高い都心部に集中しており、その結果相場が安定したように『見える』ことが判明。その『真実』を伝えようと特集を組み、レポートに付記した。初めて自分なりの主張を展開できたことは自信になったが、半面、表面的な情報を鵜呑みにすると業界を誤った方向へ導きかねない危うさも痛感した。













