大言小語 業平とスカイツリー
住宅新報 2011年2月8日 号 1面
本紙1月25日号に掲載した「東京アメリカンクラブ」建て替えに伴う定借マンションの記事は、周りでも話題になった。「『億ション』だし、場所も狸穴(まみあな)だしなあ」とつぶやくと、途端に「場所は、東京の麻布台ですよ」。麻布狸穴町は今もあるが、一部は町名変更され、麻布台になっていたことを思い出した。
▼今、麻布台となっている地域は、前記の狸穴町(一部)のほか、飯倉片町、市兵衛町辺りか。そう言えば、我善坊町(がぜんぼうちょう)もその一つで、子供のころは、読めなかったものだ。町名変更の知らせを受けて、今は亡き父が「情緒がなくなる」と嘆いていたことも懐かしい。
▼町名ではないが、古くからの駅名を変えるケースがある。その駅は東京の東武伊勢崎線・業平橋駅。近くに掛かる吾妻橋にちなんだ吾妻橋駅、浅草駅と改称を続け、1931(昭和6)年、業平橋駅となった。今年ちょうど80年だ。新しい駅名は「とうきょうスカイツリー駅」。東京スカイツリーに最も近い駅として生まれ変わる。「ぎょうへいばし」と誤読されたり、最寄り駅が分かりにくいという声も後押ししたらしい。ツリー開業と同じ来年春の予定だ。
▼在原業平が詠んだとされる「都鳥」にちなんで付けられた「業平橋」。東京スカイツリーの登場で表舞台から消えるのは寂しい。町名、駅名は人々の心に深く刻まれている存在である。そのことだけは、忘れてほしくない。













