田原祐子が教える-- 部下をやる気にさせる 究極のマネジメント力(13)
住宅新報 2011年2月1日 号 8面
リーダーの『マインド』がチームを動かす原動力
心の底から動きたくなる導きを
人間が持つ「力」というものには、計り知れないものがあります。
以前テレビで、ある小学校の生徒たちが、全校あげてクラス対抗の二人三脚走を実施し、校内で優勝を決めるまでの軌跡を放映していました。二人三脚と言っても2人だけで足を結えて走るのではなく、クラス全員が足を結え、肩を組んで50メートル先のゴールを目指します。確か、20人程度のクラスでしたが、1人が転ぶと全員が共倒れとなるため、とにかく全員が一心同体となって呼吸を合わせ、「いち、に!
いち、に!」の掛け声と共に走ります。
最初は、2-3歩進む毎に倒れ、なかなか前に進めません。中には、そもそも運動が苦手な子どももおり、「こんなこと、やりたくない」とダダをこねます。しかし、学校中で競い合う行事であるため、他の子どもたちが、その子どもをなだめたりすかしたりして、気持ちをひとつにしてこの難関に挑戦していくのです。
練習を繰り返すうちに、その子どもたちも次第に転ばず足を運べるようになり、全クラス・全生徒が参加して決戦が繰り広げられます。20人以上の二人三脚ですから、最初は前にヨチヨチ進むだけが精一杯だったのに、対抗戦をするころには全クラス『小走り』で前に進むのですから、私たち人間は、どんな難関でも練習を繰り返し継続していけば、必ず達成できるものなのだということが分かります。そして、「できるか、できないか」は、「やるか、やらないか」、あるいは、「やりたいか、やりたくないか」の違いなのだと、つくづく感じます。
また、こうして心をひとつに合わせることで、子どもたちの心の中に、お互いを思いやる気持ちが育ち、クラスの結束が固まり、一人ひとりの学習意欲や運動以外の能力までもが発揮されていきます。この二人三脚に、『チームを動かす原点』を見ることができます。共通の「合意」を取る
組織を動かすには、リーダーがいくら旗振りをしてもメンバーは動きません。まずはリーダーがゴールを明確にし、それを目指そうという「合意」を全員に取ること。前掲の事例なら、「二人三脚で優勝しよう!」「ベスト5には入ろう!」というゴールを示し、メンバーが「入賞したい」といった気持ちになるよう、チーム全員のモチベーションを高め、心をまとめていかなくてはなりません。二人三脚は、1人でも動かない人がいると、全員が前に進めないのです。また、「頑張れよ」とリーダーがハッパをかけるだけでは、合意は取れません。「そんなことはしたくない!」と後ろ向きなメンバーにも合意してもらわなければなりません。リーダーが「皆で頑張ろう!」と全員の意欲を高め、心をひとつにまとめなくてはならないのです。
言わば、部下やメンバー全員の「合意」をいかに取るかが、リーダーの腕の見せどころです。そのためには、人を動かすための「小手先のテクニック」に終始しない、人が「心の底から動きたくなるような」リーダーたる『マインド』を養いたいものです。
次回は、「部下に愛情を注ぐ」ことについて、お話しします。
(たはら・ゆうこ=ベーシック代表取締役)













