不動産取引現場での意外な誤解 売買編(27) 売主の受領遅滞は債務不履行に当たりますか?
住宅新報 2011年2月1日 号 6面
Q
先日、当社の営業マンから「決済日に買主が代金を持参しても、売主がそれを受け取ってくれないので、とりあえず決済日を1週間ずらすことにしました」という報告を受けました。この営業マンの対応は正しかったのでしょうか。A
当事者が話し合って決済日を延期したのであれば、正しい判断といえます。しかし、売主が代金の受領を拒否したということは、「受領遅滞」に当たりますので、売主は、その時から遅滞の責任を負うことになります(民法413条)。ただ、その責任については、売主側の遅滞ですから、単に金銭的な遅延利息(年利5%)の支払いで済むということにはなりませんので、1週間後の決済日にも同じようなことが起こる可能性があるのであれば、あらかじめ弁護士などに相談をしておいた方がよいでしょう。
その場合、仲介業者として、売主がなぜ代金を受け取らないのかということだけは、はっきり聞き出しておく必要があります。Q
ところで、売主の受領遅滞というのは、売主の債務不履行になるのですか。A
「受領遅滞」だけを取れば、判例上、債務不履行とはなりませんが、結果的には、売主は、売主としての義務である所有権の移転や物件の引き渡しという債務を履行しないわけですから、債務不履行になると思います。
問題は、売主がなぜ代金を受領しないのかが重要で、物件を売りたくなくなったのか、売れないような事情が生じたのか、それとも買主自身に問題があるのか、何か抗弁権を行使するような事情があるのか、等々いろいろなことが考えられると思いますが、いずれにしても、1週間後の決済が決裂した場合には、法律の専門家を交えた対応が必要になるでしょう。Q
このようなケースの場合に、売主に強制的に代金を受領させたり、所有権移転の登記をさせたりする方法はあるのでしょうか。A
あります。このようなケースの場合、履行を強制する手段として、(1)直接強制(2)代替執行(3)間接強制の3通りがありますが(民法414条)、それをどのように使うのかが、まさに法律の専門家が行う法手続きなのですが、できることなら、そのような強制履行の方法によらないで、話し合いによる円満解決を図ることが望ましいでしょう。
(渡邊不動産取引法実務研究所
代表
渡邊
秀男)













