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スタンダード会員限定鑑定協会レター 岐阜 「市場分析の視座」でシンポ 不動産の利用価値と今後

住宅新報 2009年2月17日 号 9面

 「市場分析の視座」をテーマに、第26回不動産鑑定シンポジウムが08年11月21日、岐阜市で開催された。不動産の活用主体の視線から不動産の利用価値を把握すると共に、今後の不動産市場への影響を探る意味から、特に商業事業者の行動様式に重点を置いて、2つの講演と若手不動産鑑定士による多数の研究発表が行われた。その模様などを紹介する。■首都圏でも進む郊外地のスラム化

 まず、東京大学大学院総合文化研究科の荒井良雄教授による基調講演「流通システムの変遷と今後の展開」。

 教授は今後の流通を読み解く5つのポイントを提示した。(1)郊外住宅地の高齢化が急速に進むこと(2)消費の二極化に伴い小売業態の二極化が進むこと(3)流通系外資の参入(4)安全と安心を求める消費需要が個別流通を増大させる(5)インターネット通販が拡大し全国各地の地域振興へ貢献していること、を指摘した。

 大前提となる(1)の骨子を紹介すると、高度成長期に大都市圏に流入した団塊世代が移り住んだ郊外住宅地は、今後急速な高齢化が短期間に進むことが不可避である。教授は、首都圏を中心とした半径60キロの地区を1キロ四方のメッシュに区分し、00年と15年の人口の増減と高齢化比率をコーホート変化率法を用いた人口推計を用いて視覚化した分析図を使い、高齢化地区の予測分布について説明した。

 新たな発見は、これまで過疎・高齢化は地方都市とか農村で強調される問題だったが、首都圏の郊外でも過疎・高齢化がそこはかとなく、かつ急速に進むことだった。

 このメッシュ分析手法は鑑定業界にとっても、地域の将来予測を行ううえで有効な手法であり、経済地理学研究者との協力・協働の必要性を感じさせる内容だった。■住民密着型の店舗創造の時代

 次に、中部圏において店舗展開のコンサルタント業務を中心に活躍している日本商業企画(株)代表の岡南充彦氏の講演は、出店企業の戦略から見る立地条件・ターゲット顧客・投資採算・市場環境等の出店調査の実際と、収益予測から見た支払可能な地代など、具体的事例を交えた講演で、CRE(企業不動産)戦略に直結する内容だった。

 その中で岡南氏は、最近の店舗出店動向として、大都市圏に小型のスーパーやコンビニエンスストア網の再構築の出店の動きがあること。また、これからの出店においてのポイントは、需要層が望む生活レベルを的確に把握し、住民密着型、生活密着型に現在の店舗を創り変えていくことだと指摘した。■鑑定業の進むべき方向性

 若手の不動産鑑定士による研究報告は、継続・新規の地代調査、経済統計を駆使した地域商況分析、GISを活用した都市の変遷の記録と将来予測、地方圏での収益物件の取引利回り調査、取引価格の時系列分析、不動産市況DI調査など多岐にわたった。それぞれの調査結果の報告と調査分析方法の提案がなされたが、いずれの発表も、粘り強いデータの収集・蓄積の重要性を再確認させられる内容だった。

 また、同時に開催された地理情報活用検討小委員会によるWEB上での地価情報の管理・閲覧のプロトタイプモデルの実演展示も、多くの参加者の関心を呼んだ。

 取引情報の公開やネットの普及により、不動産鑑定士は従来にも増して精緻(ち)で客観性のある評価を求められることになる。今回のシンポジウムは、そうした社会的なニーズに応え得る鑑定業界の姿を模索する上で貴重な機会であったと思う。

 (岐阜県不動産鑑定士協会会員

 久保

 輝)

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