高齢者住宅市場、本格化 高齢者住まい法改正へ 「成長への羅針盤」
住宅新報 2011年1月4日 号 19面
高齢者の住まいとはどうあるべきなのか。ソフト面での研究も含めた高齢者住宅市場は今後、急速に拡大する。現在約2900万人の高齢者人口は20年には約3600万人に増加する。15年には人口のボリュームゾーンである団塊世代が65歳以上となる。一方、介護を必要とする高齢者向けの住まいの数は絶対的に不足している。そのため政府は供給を促進しようと、現行の有料老人ホームと高齢者賃貸住宅を一本化し、「サービス付き高齢者住宅」(仮称)制度を創設する改正法案を次期通常国会に提出する構えだ。事業者側も提言、要望を行うなど動きが活発化している。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、今後10年間で高齢者人口は700万人増える。中でも要介護の比率が高まる75歳以上は約1400万人から約1900万人に急増。都市部でその傾向が強まるようだ。同時にひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯の割合も高まっていく。
また、高齢化率(国際連合推計)を見ても、海外の先進国の中でも日本は圧倒的なスピードで進む。先進国の平均が10年に15.9%、20年に19.0%、30年に22.4%、40年に24.7%、50年に26.1%と進むのに対し、日本は10年に23.1%、20年に29.2%、30年には早くも3割を超える。40年には36.5%、50年は約4割だ。
こうした状況を背景に求められているのが、ケア付きの高齢者住宅だ。一定の居室面積があるバリアフリー仕様で、生活支援や介護などのサービスを必要に応じて受けることができるもの。国土交通省は次期通常国会に、厚生労働省と共管の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正法を提出する予定だ。安心して生活できる賃貸住宅などの供給を促進する狙い。
これまでの高齢者向け賃貸住宅、つまり高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)と高齢者専用賃貸住宅(高専賃)、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)制度を廃止。これらの賃貸住宅と有料老人ホームを一本化して、新たな登録制度「サービス付き高齢者住宅」(仮称)制度とする。
同住宅には、建設・改修費に対する補助制度や住宅金融支援機構による融資、税制上の優遇などが受けられるようにして、供給を促す考えだ。
消費者にとっては、多種に分かれていた高齢者住宅の名称が統一されることで分かりやすくなる。ハード・ソフト両面で一定の質を持ち、暮らしの自由度がある『住まい』へと転換が進むことなど事業者側からも評価する声が聞かれる。ただ、有料老人ホームで一般化している一時金がどのような扱いになるかを含めて課題も多く残されている。
こうした中、事業者団体も動き出した。有料老人ホームの運営事業者やコンサルティング会社など44企業で組織する「高齢者住宅経営者連絡協議会」(会長、森川悦明オリックス・リビング代表取締役)は12月中旬に、国土交通省と厚生労働省に制度案に対する要望書を提出した。
一時金については、「家賃相当額、各種のサービス対価の平均居住期間に対する費用、開業費を入居時一時払いの前払金として、現状通り徴収する。開業費、目的施設の長期にわたる修繕費用、想定以上の長寿に対応するリスク費用を、初期償却の対象とする」「初期償却の定量はあくまで事業者の責任のもとで設定されるべき」とした。また、協議会として苦情受付窓口を独自に設置することを提案。更に、短期退去に対する返還金の扱いに関する事項や、シルバーハウジングやケアハウスなども登録対象に加えることなどを要望した。
また、同協議会は11月、16項目からなる高齢者住宅のあり方に関する提言をまとめた。提言では、種類が多く複雑な高齢者住宅の類型簡素化を進めることや、総量規制の撤廃、建築関連法規制再考などの必要性を訴えた。更に入居検討者の選択に役立つような高齢者住宅の評価基準作成などを提案した。
一方、高専賃を運営する事業者で構成する高齢者専用賃貸住宅協会(会長、橋本俊明メッセージ会長)は11月、「第1回高齢者集合住宅研究大会」を開いた。高齢者集合住宅におけるケアの在り方をテーマに行政や事業者が現状を報告した。













