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スタンダード会員限定新春商戦が始動 市況回復の手応えは(2)

住宅新報 2011年1月25日 号 1面

 不動産流通市場の新春商戦は今真っ盛り。賃貸住宅、中古マンション・戸建ての売買物件とも1-3月期の年度末が最需要期、書き入れ時であるだけでなく、今後の市況を占う意味で重要な時期だ。賃貸住宅市場は長引く不況で空室率が上がると共に、家賃の下落が続くなど、かつてない厳しい状況からの打開がかかる。一方、中古住宅売買取引はリーマンショック(08年9月)からいち早く立ち直り、高水準維持してきたが、昨年後半やや息切れ感も出た。その意味で、回復への大事な時期となった。首都圏市場の動きを中心に新年の滑り出しを探った。「賃貸住宅」

 回復感広がる

 低い初期費用に人気

 年明けから本格的な繁忙期に突入した賃貸市場。空室の増加、賃料下落という大きな流れは引き続いているものの、消費者目線に立ったキャンペーン展開や、縮小した顧客の予算への対応などで、需要の獲得、掘り起こしに一定の効果も伺えるようになってきた。事実、年末年始の客足や反響に回復感があるとの声が賃貸各社から多く聞かれる。

 特に広域に店舗展開する大手賃貸FC各社は、前年より増加傾向にある来店や反響に手応えを感じている。予算が縮小する中にあって特に初期費用を抑えた物件に需要が集まる傾向が顕著なことや、地域による温度差はあるものの、緩やかな景気回復を受けて法人の賃貸需要も徐々に持ち直してきたことが大きな要因だ。繁忙期入りし早い時期に希望物件を抑えたいというユーザー心理も働いて、駅近や人気エリアの物件に対する需要も当然ながら底堅い。

 全国に店舗を展開するアパマンショップネットワーク(東京都中央区、川森敬史社長)はネットワーク全体の動向について、「生活者の心理が上向いていることと、社宅需要の回復で、年末年始のお客様の来店が非常に増えている」と話す。

 また、「ウェブ上でも1人当たりの問い合わせ回数や閲覧ページ数が大きく増えている。入念な下調べをしている傾向が伺える」と分析する。中でも特に閲覧を集めているのが比較的初期費用の低い物件であり、「これらに対する需要を強く感じている」という。

 また、空室率が年々高くなる中、テレビCM、SEO、リスティングといった従来の賃貸営業の手法による反響獲得には限界があるとの判断から、顧客の感性に訴えられる独自企画のキャンペーンのプロモーション活動にも注力し、需要掘り起こしに取り組んでいるところも同社の特徴で、高い反響を獲得している様子だ。

 今年もキャンペーン企画が目白押しの同グループ。ただ、ユーザーの早い動き出しに対しては、「繁忙期が早期に収束してしまう懸念も残る」と慎重姿勢は崩していない。

 「前年と比べると、関東・関西で来店、問い合わせが増加傾向にある」と年末年始の市況を話すのは東建コーポーレーション(名古屋市、左右田稔社長)。「初期費用を抑えたキャンペーンに取り組んで関西・中国エリアで成約を大きく伸ばした」ことに加え、「関東でも学生の平均賃料に回復傾向が見られる」など明るい材料が出ているという。

 半面、「ファミリーの平均賃料は減少(関東)、初期費用・希望家賃などに減少傾向が見られる(関西・中国)」などマイナス材料も残っており、楽観できない状況は変わらない。今月下旬にもピーク入りすると見る関東、2月以降にピークを迎える中部に照準を合わせて、営業体制を引き締める。

 景気に明るさが見られ、ようやく薄日が差し込んできた感のある市況を横目に、今年は賃貸居住安定化法案の国会審議や賃貸管理業者の登録制度の創設、更には注目の更新料問題の最高裁判決も見込まれている。賃貸市場を取り巻く厳しい事業環境は続く。「中古流通」

 実需で堅調推移

 1月8日から不動産流通業界は本格的に始動。大手流通会社やフランチャイズチェーンなどのフェア・キャンペーンが始まったほか、新聞の折り込みやポスティングのチラシの量が一挙に増えた。インターネット時代とはいえ、テレビや紙媒体での売り込みは、ムードを盛り上げるには欠かせないツールのようだ。

 マンション、戸建ての中古住宅流通市場を取り巻く環境は「大きな不安要因がないだけで、事業環境はプラスマイナスゼロ」(大手流通)という見方がある。昨年来、効果を上げている税制(ローン減税や住宅取得資金贈与の非課税枠の拡大など)やフラット35Sでの金利優遇、エコポイントなどのテコ入れ策が継続され、住宅需要者の購入環境は整っていること。一方で、雇用不安や勤労者世帯所得の減少が続いていることを考え合わせると、とても需要が伸びる状況にはないためだ。

 東日本不動産流通機構のデータで、首都圏市場で最も取引件数の多い中古マンション成約件数の月別推移をみると、昨年は5月から11月まで前年実績を下回った後、12月に再び増加(4.5%増)に転じた。その前年の水準が高かったとはいえ、減少モードに落ちながら徐々に盛り返してきた状況がある。

 それだけに、出足が気に掛かる。「リハウスデー」を展開する三井不動産販売では1月16日までの状況について、「購入希望顧客の委託の数は前年並み水準。売却依頼は前年同期を上回るペースで、在庫物件の量も昨年より増加している」と順調なようだ。住み替えフェアを実施中の住友不動産販売は「購入、売却に関する反響は前年比で増加、順調な出足」といい、東急リバブルは「まだ序盤で数字では示せないが、実績が上がった昨年と同等の客足で、実需層を中心に堅調な状況が続いている」と話す。

 三井不動産販売や野村不動産アーバンネットが首都圏の主要住宅地・マンションを四半期ごとに定点観測して公表している価格動向調査(最新1月1日時点)では住宅地、マンションとも横ばい傾向で安定推移。そのため買い手、売り手とも出動しやすい状況にある。これまで堅調な中古マンションは(1)価格調整が進んだ都心部周辺の、(2)希少性がある、(3)割安感がある物件だったが、最近では郊外エリアにも広がっているという。

 中古は新築市場の影響を受けやすいため、新築物件価格動向も注視する必要がある。「12月は今一歩だったが、新年に入ってモデルルームは盛況で、集客は昨秋水準まで戻った」という声もある。相乗効果も期待できそうだ。

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