鑑定協会レター 新広島球場の効果は
住宅新報 2010年12月7日 号 31面
地域活性化の心理面改善
広島県におけるプロ野球広島カープの本拠地・新広島球場の効果を考えてみたい。
(1)セ・リーグ観客動員数は次の通り、新球場効果が薄れて減少している。
<新広島球場観客動員実績>
08年度約139万人(前年比131%)
09年度約187万人(同135%)
10年度約160万人(同86%)
(中国新聞より)
(2)球場前面の相続税路線価は08-10年にかけて、横ばいからプラス65%と、他が下落しているのと違い、際だった傾向がある。
(3)最寄り駅、広島駅への利用客効果は特に認められない。ただし、09年度での近距離切符の自動改札は30%程度増加。もう1つの天神川駅(04年開業)の利用客は微増か横ばい傾向にあるが、近接する大型商業施設「ソレイユ」への入り込み客数増加の可能性がある。ただ、駅事務員によると、プロ野球開催時はかなり多いとのことである。
<1日当たり乗車人員実績>[広島駅]
07年度、7万574人
08年度、7万656人
09年度、6万9840人[天神川駅]
07年度、9030人
08年度、9290人
09年度、9300人
(JR西日本調べ)
(4)観光客数と宿泊客数も減少している。地元精通者によれば、阪神ファンは3泊することもあるというが、数値としては表れていない。
<広島市観光動向>[観光客数]
(市観光課調査)
07年度、1062.4万人
08年度、1043.5万人
09年度、1004.8万人[宿泊客数]
07年度、354.7万人
08年度、356.2万人
09年度、345.4万人
(5)不動産業者への聞き取りによると、新球場が出来たことで、特に賃貸借取引などの増加は見受けられない。ただ、「新球場まで歩いて行けます」など、売り文句として募集した例はあるそうだ。
(6)新球場周辺や橋を渡った地域にはコンビニが数多くある。50メートル程度に3店のところもある。野球開催時には売り上げも多いとのことだが、おにぎりなどが中心だという。
(7)駐車場需要は強く、野球開催時、周辺のコインパーキングは満杯になる。周辺大型商業施設のサティ広島店、ソレイユだけでなく、駅前の天満屋まで利用する人もいる。
(8)新球場自体の経済効果は、エネルギア総合研究所が発表したように、大幅な増加があったが、周辺にはそれほどの効果を上げてはいないのではないか、と考える。
しかし、市中心部に新映画館を開業する序破急社長の蔵本順子さんの談によると、「新球場開業による経済効果は大きかった。広島の街なかに人を呼び込むことが地域の活性化につながる」(日経新聞広島経済欄、11月20日)とある。具体的な経済効果はともかく、地域活性化への心理面の改善には、かなりの効果を上げていると考える。((社)日本不動産鑑定協会広報委員会委員、富永伸二)













