常日頃(54) 第2部 市場の変革者たち(4) グーグルのパートナー企業になった ジアース
住宅新報 2010年12月7日 号 19面
ジアース(旧アイディーユー、池添吉則社長)は米国サブプライムローン問題以降、事業の「選択と集中」を進めている。今年5月に新Webサイト「ジアースβ版」をリリース。8月には世界最大の検索エンジンであるグーグルとコンテンツライセンス契約を締結。ジアース掲載の賃貸物件がグーグルの不動産検索にも自動的に提供される。9月末時点で、約5000社の登録不動産会社から150万戸の賃貸物件が提供されている。12月上旬にはリクルートが運営するSUUMOからの情報提供も始まる。グーグルとの連携を機に新たな躍進を始めたジアースに期待がかかる。賃貸物件『SUUMO』加わり240万件に
12月1日、ジアースはリクルートが運営するSUUMOとのデータ連携を12月上旬に開始すると発表した。これにより、SUUMOに掲載されている約90万件の賃貸物件が加わることになり、ジアースとグーグルに掲載される賃貸物件の総数は約240万件にも達する見込みだ。
ジアースがグーグルのパートナー企業に選ばれた理由について、池添社長は「我社の独創的な不動産ソリューションテクノロジーを評価していただけたからで大変光栄に思っている」と話す。
国内の不動産会社にとっても、世界最大の検索エンジンであるグーグルに、自社の物件情報を無料で掲載できるメリットは大きい。これまでにアパマンショップ、レンターズ、エステートサーチ、センチュリー21、ピタットハウス、ダンゴネット、ハウスコムなどが物件情報を提供している。
もっとも不動産情報サイトの巨大化に対しては「情報過多で、かえって使いにくくなるのでは」と懸念する声もある。しかし、オーナーズエージェント社(東京・西新宿、藤澤雅義社長)の長瀬透氏はいう。
「そもそも、雑多な情報群から目的物を検索しなければならないのが、インターネットの世界。そうした中に、幼少期より身を置いてきた若年層にとっては、情報過多はむしろ使い心地がいいサービスとなる。今の高校生や大学生が社会に出る頃は、賃貸物件や不動産を探すことを、『ググる』と表現しているかもしれない」ユーザビリティを追求
ジアースは、物件の豊富さに加え、ユーザビリティ(使いやすさ)も追求する。12月1日からはこれまでのβ版を改良し、使い勝手や利便性を高めた新生ジアースを本格稼働させた。検索サイトの生命線は導線の良さだが、たとえばグーグルのトップ画面に、「赤坂、賃貸不動産」とキーワードを入力するだけで、検索結果が地図上に丸いマークで表示される。あとは同マークをクリックすれば詳細情報を得ることができる。「ユーザーの導線は飛躍的にアップしている」(同社)という。
池添社長は先の中間決算説明会で「今期に営業キャッシュフローベースでの黒字を達成し、来期は完全に利益を確保できる見込み」と述べた。その収益源の柱がジアースの有料広告だ。Web上で簡単に広告が出稿できるサービスも12月1日開始した。
一方、ユーザー向けには同社の豊富なデータサービスを活用した物件調査報告者の有料販売(Web上でクレジット決済)も始める。物件購入の検討材料にもなる類似物件の相場表、取引事例、土壌汚染リスク診断、人口統計などの資料が、住所など簡単な入力でダウンロードできる。ジアースは不動産のグローバル化にも対応していく。その戦略の一つが、グーグルの翻訳機能を活用した多言語化である。世界57カ国語での検索を可能にしていく。同時に多言語契約書式も提供する。世界を視野に多言語化
背景にはもちろん不動産投資のグローバル化もあるが、日本への海外留学生の増大も見逃せない。90年には約4万人だった留学生が09年には約13万人と3倍以上に増えている。
そうした留学生の8割弱は民間の賃貸物件に居住している。彼らに日本の不動産を詳しく紹介し、トラブルも未然に防止していくためには検索サイトの多言語化は必須のサービスとなる。海外の若者が日本の不動産を「ググる」だけでなく、日本の若者がジアースで世界の賃貸物件を探す日が近いかもしれない。
(本多
信博)<会社概要>所在地=【本社】大阪市西区阿波座1-3-18エッグビル本町9階【東京】東京都千代田区内神田1-2-1ダコタハウス設立=99年9月2日電話=03(5283)2664













