よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第134回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く ケネディクス・リート・マネジメント代表取締役社長 宮島 大祐氏(4)
住宅新報 2010年12月7日 号 3面
制度改正で投資促進を
海外ファンドは日本投資に積極姿勢(田辺)
リートの投資口(株式に相当)価格にも回復の兆しが見られますが、投資家のスタンスに変化は見られますか。(宮島社長)
当社の運用するケネディクス不動産投資法人の投資家の最大の特徴は、外国人の比率が高いことにあります。半面、機関投資家のうち地銀の比率が低く、個人の比率も若干低めになっています。こうした投資家構成は、スポンサーであるケネディクスが元々は外資系であったこと、独立系のリートであることなどによるものだと考えています。
従って、海外の投資家に対するIR(投資家向け広報)活動には、昔から力を入れています。最近は、欧米の投資家が香港やシンガポールに拠点を置くようになり、欧米まで行かなくても有力投資家に会えるようになったので、訪問回数もこれまで以上に増えています。
グローバルファンドは、ヘッジファンド、日本株ファンド、プロパティファンド(主に不動産に投資するファンド)に分かれますが、今、日本に積極的な投資姿勢を示しているのは、プロパティファンドです。
彼らは、人口減少、少子高齢化、財政問題、円高、不安定な政権など数多くの課題を抱える日本の現状に満足しているわけではありませんが、日本の不動産が安定的なキャッシュフローを生み出していることやイールド・ギャップ(国債との利回りの差)の大きさ、リスク分散効果などには魅力を感じています。
なお、Jリートの成長期に積極的に投資した地銀は、リーマンショック後は投資を控えていましたが、ここにきて投資を再開する動きが見られるようになりました。(田辺)
これからJリート市場が更に成長するためには、どのようなことが必要だと考えておられますか。(宮島社長)
まず、Jリートの制度面につき、以下の点の改正が望まれます。
(1)投資口の50%超を国内で募集するという税制上の要件を緩和すること(この要件があると海外からの投資資金を集めるときの障害になる可能性がある)
(2)利益の内部留保を認めてもらえるようにすること(これまでは利益の90%超を投資家に分配しないと課税されるので利益が内部に残らなかった)
Jリートは国内だけでなく、海外のリートとも競争しているので、制度面でのマイナス要因は極力なくしていく必要があると思います。
また、これまでは投資の世界では、「Jリート」という独立のセクターとして扱われてきましたが、これではセクターとしてのボリュームが小さすぎるので、一般の不動産会社と同じセクターに分類されるようにした方が良いと思います。
ただ、そうなると、一般の不動産会社とリートとが同じ土俵にないこと--リートは外部運用(ファンドを運用するのは外部の資産運用会社)かつ導管性あり(一定要件を満たせば実質的に法人税がかからない)--が論点として浮上するので、そう簡単なことではないかもしれません。
制度面の問題を別にすると、やはり個々の資産運用会社が、プロとして運用能力を高め、投資家からこれまで以上に信頼を得られるようにすることが重要だと思います。(田辺)
最後に、今後のJリート市場の見通しについてお話しください。(宮島社長)
Jリート市場が創設されてからほぼ10年が経過し、また、この間に世界的な金融危機にも遭遇することにより、投資家も資産運用会社も多くの経験を積み、リートについての理解もかなり深まりました。今や、運用サイドも投資サイドも、相当高いレベルでの議論をするようになっています。
その意味では、ここからJリートは新たなステージに入っていくと思います。当社も運用能力を更に磨くことにより、新たなステージにおけるリート市場の成長の一翼を担っていきたいと考えております。













