知って得する建物の豆知識(48) それ行けスマート! インターフェイスが問題
住宅新報 2010年11月2日 号 4面
最近は「スマート」という、いわば陳腐化したダサい言葉を連日多くのメディアで目にします。いわく「スマートグリッド」「スマートハウス」「スマートフォン」などです。60年代コメディが先駆け?
少し年配の方は、60年代のスパイコメディ「それ行けスマート!Get
Smart」を懐かしく思い出されるかもしれません。主人公のマックスウェル・スマートの靴が、実は(無線)電話として使えるなど、まさしくスマートフォンの先を行っていたとも言えます。
さて、いろいろあるスマートですが、その再定義をするには「スマートグリッド」から話を進めます。次世代送電網と呼ばれるもので、専用の機器やソフトウェアが、送電網の一部に組み込まれ、電力の流れを供給側・需要側の双方から制御し、最適化できる送電網のことです。
メリットには、再生可能エネルギーの取り込み、エコカーの充電インフラの整備、停電対策などが挙げられます。半面、スマートグリッドのインフラには、高度な通信システムが使われますが、誤操作・不正操作や通信網からのウイルス感染対策がまだ不十分で、セキュリティーの脆弱性克服が課題となっています。「賢い」イメージ1人歩き
スマートグリッドは、従来の大規模ピラミッド型の発電-送電網を廃し、小さな発電単位-送電単位(グリッド)をネットで連結し細胞のように活動させるイメージです。その双方向性の「賢い」イメージが、「スマート」というわけです。
日本の発電送電網は非常に優れており、米国や欧州の年間事故停電時間が50-100分であるのに対し、日本は約19分です。そこで、発電-送電網問題はおいて「スマート」という言葉だけが一人歩きをし、「エコ」「グリーン」などと共に乱用されているようです。
その一例として「スマートハウス」を見てみましょう。要は、IT技術を使って家庭の消費電力を制御する仕組みを持った住宅ということです。複数の家電をネットワークでつなぎ、エアコンやテレビなどの使用を制御します。細かい操作を行わなくても、無駄な電力消費を抑えることができたり、太陽光発電装置や家庭用蓄電池と接続して、発電した電力をより効率的に使うことができたりという想定です。
経済産業省が「スマートハウス実証プロジェクト」の委託先公募を始めるなど、官民挙げての「それ行けスマート」ですが、この手のIT技術応用プロジェクトは数十年前のマイコン時代から山のようにあり、成果が不明のまま立ち消えて行くのが常道だったように記憶しています。その理由は、呉越同舟の家電各社間及び通信各社間のインターフェイスが成立しない(規格がそろわない)という、お粗末なものだったのです。(建築家・中村
義平二)













