第4回「ハ会」 これから住宅市場に必要なこと 「経済・住宅政策の線引きを」
住宅新報 2010年11月2日 号 4面
『木造密集地域』にも魅力
不動産・建築業界の有志がツイッターを通じて立ち上げた、日本の住宅市場を考えるプロジェクト「ハ会」の第4回シンポジウムが、このほど開かれた。動画中継とツイッターによって、関心があれば誰でも参加・視聴できる仕組み。会場には約100人が訪れ、13人のパネラーが「人・街・住まい・都市」のテーマに沿って議論した。
第1部では「沈むまち」と題し、該当すると考える首都圏の地域を各パネラーに質問したところ、消費社会研究家の三浦展氏は「吉祥寺」と回答。街全体の均質化を理由に挙げ、「どこも大型ショッピングセンターの品ぞろえ(になっている)」と例えた。
建築家の佐々木龍郎氏が挙げた「銀座」も似た理由だ。ブランドショップが低価格商品の販売注力方針を打ち出したことに触れ、「(老舗が)『観光商店街』に与(くみ)するようになった」と危機感を示した。
一方で建築家の田島則行氏は、「プライバシーを重視した街を計画的に作った結果、既存の住宅地から遊離している」として、高層マンション地域の弊害を指摘。計画的な街づくりに対する見方に関連して、「郊外ニュータウンが生き残る道は?」と他パネラーから質問が出ると、「空き地を農地に変えるとか、人が減ることを逆手に取った発想が必要では」と答えた。
また、『面白い街』の観点から、いわゆる木造密集地域のとらえ方についても議論が白熱。「東京・品川区の武蔵小山商店街など、歩行圏で買い物を楽しめる街にも人気の所がある。防災上の理由だけで建て壊しを急ぐのではなく、街の魅力を引き出す方向に持っていけないか」(田島氏)、「そもそも、密集市街地の解体によって、防災上の安全を確保できるとは限らない」といった意見が出た。
続く第2部のテーマは「浮かぶまち」。そのモデルとして、ディベロッパーの山万が千葉県佐倉市で開発・運営するユーカリが丘ニュータウンの事例が紹介された。同エリアでは約30年前に入居が開始されたが、毎年200戸を目安に定量供給を行ってきた結果、急激な高齢化が起こっていないという。その手法に対し、「開発後も継続して街にかかわっている」(内山博文・リビタ常務取締役)と評価する声がある一方、「人口減少局面にあって面開発がこれ以上進まない現状では、次の山万は出てこない。ただ、そのやり方に学び、(役割を)置き換える必要はある」(長嶋修・さくら事務所代表)といった見方もあった。
最終的な論点は、「都市を良くしていくために必要なこと」。ここで来場者から、「経済政策と住宅政策が混同されていることこそが、住宅市場の問題」と核心を突く意見が。プロジェクトが掲げる『ニッポン住宅維新』の実現は容易ではないが、参加者をも議論に巻き込むシンポジウムの狙いは功を奏したようだ。
同プロジェクトは今回でいったん終了。これまでの内容は、報告書として近くまとめるという。今後は、第1回のテーマ「中古」について再度シンポジウムを開く方針。また、11月12日から東京ビッグサイトで行われる「日経住まいのリフォーム博」で、同プロジェクトのメンバーが講演することも発表された。













