ニュースが分かる! QアンドA 「定期借家」はなぜ普及が進まない?
住宅新報 2010年11月30日 号 9面
「正確な理解」不足も一因
トラブル回避には有効な契約
編集長「次回の企画は、最近何かと話題に事欠かない賃貸住宅のテーマでいこう」
記者「賃貸住宅といえば賃貸借トラブルの話題ですね。トラブル防止には定期借家契約がいいとよく言われますね」
編集長「定期借家制度については、更新料問題や立ち退きの問題も起こりにくい基本的にトラブルが少ない制度だと実務の専門家も指摘しているね。確かに期限を定めている点で、万一トラブルになっても長期間にわたって居座られる可能性がほとんどないことは安心できる。しかしだ。滞納をはじめ揉め事がひとたび起これば、定期借家も普通借家契約と何ら変わりないという認識を持っている不動産業者も多いんだ」
「そのうえ、制度が始まった当初のことに遡るが、期間を定めて契約終了後は無条件で退室してもらえるというオーナーのメリットばかり強調されすぎて、借主には不利だという変な先入観を根付かせてしまったことも影響しているんじゃないだろうか」
記者「もっと不動産業者が積極的に導入するように努めればいいんじゃないですか」
編集長「不動産会社が積極的になれない理由も考えてみる必要があるな。現状の定期借家物件は何らかの制約があるような物件も多くて、消費者が定期借家というだけで避けてしまうことがある。これまで実際に定期借家を活用したことがある不動産業者の利用状況の調査では、オーナーが相続に備えるためだったり、建て替えなどの計画があったり、またはオーナーが再び住む可能性がある、学生や外国人入居者への対応などが多かったそうだ」
記者「オーナーが事情を抱えている物件が多いから、消費者の関心を引けないということですね」
編集長「定期借家で契約する場合は専用の契約書を使用し、事前説明書なども用意しなければならないから、書類も増える。普通借家と定期借家の契約が混在してしまうことにもなる。運用面での事情も普及を遅らせていると思うよ」
記者「賃貸住宅の更新料の是非が裁判で争われるようになってから、定期借家契約にしたいという話が増えているそうなんですが」
編集長「更新料の裁判は、一般的な相場に比べて非常に高い更新料を取っていたことが争点になっていたようだから、単純に更新料問題が起こったから定期借家にしたいと考えるのは早計だ。それでも、再契約を繰り返す定期借家にすることで無用なトラブルは避けたいというオーナーの気持は分かるね」
記者「誰だってトラブルになるのはいやなはずですし、どうすれば普及させられるんでしょうか」
編集長「最近、流行りのマンスリーやシェアハウス、家具付き賃貸などでは定期借家の活用が進んでいるそうだ。必要に迫られたところから普及していることは確かだ。今後、定期借家契約を使う機会が増えることにはなっていくだろうから、居住用の定期借家契約については一定の条件で途中解約が認められている点や、再契約で入居が続けられるということをしっかり説明して納得してもらう必要があるね」













