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スタンダード会員限定よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第133回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く ケネディクス・リート・マネジメント代表取締役社長 宮島 大祐氏(3)

住宅新報 2010年11月30日 号 3面

賃料単価の変動小さい中規模ビル

 資産規模4000億円目指す(田辺)

 物件取得の状況はいかがでしょうか。(宮島社長)

 これまでの中規模オフィスビルの所有者は、中小企業や個人が中心であり、その多くは金融機関からの借入金で投資をしていました。しかし、償還までに20年以上を要するようなローンを銀行が継続的に貸し続けるのは難しくなってきているので、徐々にではあるものの、これらの物件が市場に売却される動きが出てきています。また、先ほど申し上げたように、CMBSに組み入れられている中規模ビルも、適正価格であれば、十分購入することが可能です。従って、当社の目線に合うような物件を購入できるチャンスは、これからかなり増えるだろうと考えています。

 当社が運用するケネディクス不動産投資法人では、昨年11月に公募増資(PO)をしましたが、これは財務体質の改善に加え、新規投資資金の調達を企図したものであり、実際にPOに合わせて4物件を購入しました。

 第10期(平成22年4月期)全体では、5物件、合計約156億円の物件取得になります。また、つい最近、2物件、合計約25億円の売却に続き、3物件、約112億円の物件取得を公表しましたが、これも物件の入れ替えによるポートフォリオの強化を図ろうとするものです。規模のメリット、投資口(株式に相当)の流動性向上などを勘案すると、100棟、4000億円程度の運用資産には持っていきたいと考えています。(田辺)

 先ほどの話の中にもありましたが、オフィスビルの賃貸市場は、売買市場に比べ回復が遅れているようです。この点、中規模オフィスビル市場も同様でしょうか。(宮島社長)

 賃貸市場の全体感としては、大雨後にようやく薄日が差しつつあるものの、まだ雨雲も残っているといったところでしょう。しかし、賃料水準が下がり、かなり値ごろ感が出てきたので、立地が良く、グレードの高いビルや都心部のビルにテナントが移動する動きが見られるようになってきました。また、一部ではありますが、オフィス拡張ニーズも出てきています。

 中規模オフィスビルに関しても、基本的には同様ですが、大規模ビルに比べると、環境変化による賃料単価の変動が相対的に小さいという特徴があります。また、中規模オフィスの場合、一般的に賃料水準が低く、賃貸面積も狭くなりますから、テナント候補となる企業(東京の事業所の約94%が従業員数29人以下)の数が多く、業種も多様です。ですから、仮にテナントの退去があっても、後継テナントを探しやすいといった利点があります。

 当社では過去の統計から、中規模オフィスでは経済環境にかかわらず、年間8%から10%程度のテナント退去はやむを得ない面があると考えています。そうなると、後継テナントをいかに早く決めることができるかが、非常に重要になります。そこで、オフィス仲介会社とも密接な連携を取り、後継テナント受入れまでの期間を6カ月以内にするように努めています。すると、仮に退去率を10%と置いても、年間稼働率は95%程度になります。(田辺)

 テナントに中小企業が多いことによって、賃料債権の回収に支障を来すようなことはありませんか。(宮島社長)

 当社では入居時に適切なテナント審査をしていますし、テナントから賃料の10カ月相当の敷金をお預かりしているので、賃料債権や原状回復費用の未回収といった状態に至ったことは、上場以来、一度もありません。(田辺)

 これまでの話をうかがうと、特に中規模ビルではプロパティマネジメント(PM)が重要な役割を担っているように感じます。(宮島社長)

 その通りです。そのため、当社では08年3月からPM業務を資産運用業の兼業として自社に取り込むことにしました。これによって、社内全体でPMに対する意識が高まりましたし、テナントや仲介会社とのきめ細かいリレーションが可能になるなどのメリットが生まれています。

 (つづく)

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