全国の中心市街地はいま にっぽん「地価一番」物語(30)長野県長野市南千歳1丁目 日本不動産研究所
住宅新報 2010年11月9日 号 16面
◇五輪と東京日帰り圏
長野市は国宝善光寺の門前町で、人口は約38万人。中心市街地は長野新幹線長野駅前から善光寺門前に至る約1.8キロの表参道(中央通り)沿いを中心に形成されている。
観光客は年間約1000万人、このうち約6割が善光寺観光で、7年に一度の御開帳時には2倍程度に増えるが、駅からのバスや善光寺周辺の駐車場利用が多く、中心市街地まで踏み込んで散策する観光客は少ない。
商業の中心は駅前から新田町交差点付近までで、デパートや全国展開する量販店などもあったが、00年ごろに相次いで撤退。市が空き店舗を購入して公共施設と食品スーパーからなる「もんぜんぷら座」として再生したり、06年9月には再開発ビル「トイーゴ」が開業した。だが、旧来の中心市街地ににぎわいは見られない。
地価公示の最高価格地「長野5-2」(地価調査5-9と共通)は、長野駅前の店舗・ホテル(南千歳1丁目)で、10年公示価格は1平米当たり45.9万円、7月時点は43.9万円。18年連続の下落で、ピークの92年の339万円と比較すると約14%の水準まで下落した。
91年に第18回冬季五輪(98年2月)の開催都市に決定し、以降、高速道路や新幹線の整備、需要を見込んだホテル建設などのオリンピック景気が下支えし、下落率は一ケタ台で推移したが、閉幕後は大きく下げた。
長野駅前は再開発事業により高層の商業ビルが立ち並ぶが、駅前のA-3地区で進められていた再開発ビル「Nacs末広」がこの8月20日に完成し、1-4階に入居する飲食を中心とした14の店舗は、11月上旬までに順次開業する(上階のホテルは開業、稼働中)。
今後、同ビル2階から、隣接するウエストプラザビルを通って、ペデストリアンデッキでJR長野駅につながる長野駅前整備計画もある。善光寺口駅前と駅舎の一体的整備による都市機能の更新が期待される。
新幹線の開業で、東京からは約90分の時間的距離になり、利便性は大幅に向上、観光客も増えた。だが、一方で、完全に日帰り圏になったために、ホテル経営の悪化や大手企業の支店・営業所の統廃合によるオフィス空室率の上昇など、負の影響も顕在化している。◇新幹線延伸の影響は
新幹線は、14年度中には北陸・金沢まで延伸される予定だ。「長野新幹線」として親しまれた通称名の行方や、北陸地方の観光地との競合による観光産業への影響が当面の関心事である。観光プロモーションの強化や受け入れ環境の整備などで、多くの観光客が訪れ、魅力を感じるような観光都市として発展していくことを期待したい。((財)日本不動産研究所長野支所、不動産鑑定士・塚田賢治)













