よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第130回> 不動産証券化の現状と将来展望 有識者に聞く 有限責任あずさ監査法人FMG事業部パートナー 泉 典孝氏(6)
住宅新報 2010年11月9日 号 3面
独立性、専門性ある内部監査を
要員配置は経営判断(田辺)
最近は、コンプライアンス面において、どのような事項が論点になっていますか。(泉氏)
よく話題になるのが、「善管注意義務」(善良な管理者が当然払うべき注意義務)です。これは、不動産の取得・管理・売却や資金調達などのあらゆる業務について関係してきます。利益相反取引について、どこまでのプロセスを踏めば善管注意義務を果たせるのか、どこまでエビデンス(証拠)を残せばよいのかなどに関し、関係者が悩まれることが多いようです。
この点に関しては、検査を通じた行政処分などによって、相当程度、事例が積み上がってきていますが、基本的に当局はそれほど高いハードルを要求してはいるわけではないように思います。すなわち、プロなら誰が見てもおかしいと思う事項について、検査などで指摘されているケースが圧倒的に多いのではないでしょうか。また、善管注意義務違反が行政処分にまでつながるかどうかは、重大性、悪質性の2点がポイントになるのではないかと思います。(田辺)
リスク管理、コンプライアンス態勢の整備のためには、内部監査(会社内部で実施する監査)も重要な役割を果たしますね。(泉氏)
ご指摘の通りです。会社として構築したリスクマネジメント態勢がきちんと機能しているかを、独立性、専門性を有する内部の部署が定期的にチェックすることができるのであれば、自浄機能として極めて有効だと言うことができます。
ファンドのアセットマネジメント会社などが、内部監査で発見した問題点につき、当局に事実関係や今後の対応策を相談や報告に行くケースがあるようです。これは、その行為自体が会社内部に自浄作用があることを示唆しています。
また、通常は改善策も提示して、適切にこれを実行していくことが重要となりますので、きちんとその後の改善状況をフォローアップする必要があります。(田辺)
内部監査で悩ましいのが、その要員の確保です。(泉氏)
一般にアセットマネジメント会社は、それほど多くない人員で運営されているので、内部監査の専門部隊を置くことは難しい場合があります。また、同じ金融商品取引業者であっても助言・代理業者は、アセットマネジメントを営む投資運用業者とは業務内容や負うことになるリスクの質・量に差異があります。同時に、内部監査セクションにどれだけ人をつけるかは、経営判断の問題でもあります。
したがって、それぞれの会社の業務内容や規模などに応じて、有効に機能する内部監査体制を構築することになります。ただ、仮に独立したセクションを置かない場合であっても、内部監査の趣旨を損なうことがないような態勢を整えることが大切です。たとえば、ある部署の内部監査を別の部署が行うというように、独立性を担保するような仕組みを工夫する必要があります。また、外部の監査法人やコンサルティング会社に、内部監査を業務委託する方法もあります。(田辺)
最後に、日頃の業務を通じてお考えになっていることについてお話しください。(泉氏)
私が所属している監査法人というのは、マーケットの公正さと投資家の保護を確保する役割の一翼を担う、ある意味でのインフラだと思っています。そうした使命感を持って、今後とも、監査業務はもちろんのこと、業務プロセス、システム、コンプライアンス、ガバナンスなどに関する様々な案件で皆様のお役に立っていきたいと考えております。
注=文中意見にわたる部分は話し手の所属する組織・団体の見解を反映するものではなく、個人的な見解に過ぎないことをお断りします。













