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スタンダード会員限定全国の中心市街地はいま にっぽん「地価一番」物語(29)山梨県・甲府市丸の内1丁目 日本不動産研究所

住宅新報 2010年11月2日 号 12面

「風林火山」のまちづくり

 複合ビル

 若者たちの新たな気配◇信玄公像は今何を

 JR甲府駅前の武田信玄公像は、全身を甲冑に包み、軍配を片手に中心市街地をにらみつけている。戦国時代の甲斐の守護大名であった彼は、今何を考えているだろうか。かつて栄えた甲府の街も90年代のバブル崩壊以降、商店街は消費の落ち込みと急激な地価下落に見舞われた。駐車スペースを確保した郊外ショッピングセンターの建設ラッシュと共に衰退し、現況は中心商店街の総売上・店舗数共に半減し、一気にシャッター通りと化している。

 甲府商工会議所の09(平成21)年度中心商店街歩行量調査結果によると、甲府駅南側17地点の中心商店街のうち、地域を代表する「かすがもーる」では対前年比30.4%減、「銀座通り西」では27.0%減と昨年に引き続き大幅な減少となり、74年の調査以来過去最低を記録した。全20地点総計では、00年の数値を100とすると40.5の水準となっている。

 国土交通省発表の地価公示・地価調査結果もこれらを反映して、県内商業地の平均価格は1平米当たり18.5万円と91年のピーク121.7万円に比較して15%強の水準まで、18年連続して下落した。これは今から30年前の昭和50年代半ばの水準である。なお、駅前一等地の現在の価格水準は3.3平米当たり100万円前後といわれている。ちなみに、10年地価公示での最高価格地点は「丸の内1の7の1」。

 08年に、甲府市は中心市街地活性化法の認可を受けて、甲府駅北口と南口一帯の中心市街地の整備に着手した。北口では消防署、歴史公園、お祭り広場、駅前広場、NHK放送局、地方合同庁舎、県立図書館などの公共施設の新設。南口では地方裁判所、市役所、県庁などの建替事業が着々と進捗(ちょく)している。◇土地柄を生かして

 その中にあって、組合施行による紅梅地区第1種市街地再開発ビル「ココリ」が中心商店街の入り口にこの10月オープンした。地上20階建ての商業施設、山梨県立宝石美術専門学校、マンションの複合ビルで、若者たちの新たな気配が感じられる。

 我が同僚曰く「地域再生の鍵はハコモノ事業ではなく、投資採算性に見合った事業展開と、土地柄や地域の特徴を生かしたソフト事業にある」。そういえば官主導の街づくりはどこも見事だが、民間企業の活力が見えない。

 かの信玄公も曰く、「人は城、人は石垣、人は堀。情けは味方、仇は敵なり」。どれだけ城を堅固にしても、人の心が離れてしまったら世を治めることはできない…。彼は生涯一度も甲斐国内に新たな城を普請せず、堀一重の躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)、現在の武田神社に住んだそうである。

 ((財)日本不動産研究所甲府支所、不動産鑑定士・西川英之)

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