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スタンダード会員限定激動の時代を生きる 事例に見る変革と挑戦(上)

住宅新報 2009年1月20日 号 1面

 未曾有の不況をいかに乗り切るか--。従来の枠組みにとらわれない事業構造を構築したり、新たな事業に着手したり、厳しい経済状況に対応した「変革と挑戦」で危機を克服しようとする動きが活発化している。住宅・不動産会社の事例から激動の時代を生き抜く術を模索する。経営者に聞いた。

 (佐藤

 幹彦)

 「今大事なことは格好をつけずに生き残ること」

 注文住宅や開発事業を手掛ける三田ハウジング(東京都新宿区)の三田俊彦社長は繰り返し強調した。同社は08年、「相当な人員削減」を断行。本社も移転して「一点に圧縮」し、一時的にしのぐ戦略を取っている。

 07年夏ごろには、在庫の処分にかかったが、「不動産市況がこれほどひどくなるとは思わなかった」。未曾有の経済不況を乗り切るためには、更に事業のスリム化が必要と判断。08年1月から不採算事業部門の整理に着手した。

 「経営者として苦渋の選択だった。社員の夢も希望も安心も、結果として奪うかたちになる。リストラは2度とやりたくない」。そう心境を明かした。

 在庫の圧縮とリストラがほぼ完了した現在、環境の変化に柔軟に対応できるビジネスモデルの構築に着手している。「デベ事業は猪突猛進型。一度つまづくともんどりうってこけてしまう。事業モデルが単純かつ脆弱で、もろいと気付いた」

 今月には持ち株会社「ミタ・ホールディングス」を設立し、三田ハウジング、タオル販売を手掛ける「國竹タオル店」(東京都台東区、07年にM&Aで三田氏が社長に就任)、國竹不動産管理(同)を傘下に置く組織を整える。新事業として、ハウスクリーニング事業なども構想している。

 不動産業に軸足を置きながらも、その枠にはとらわれず、ディベロッパー以外の事業にも取り組む。業務の多様化によるリスク分散と事業間の相乗効果を生み出すのが狙いだ。

 相乗効果の例として、タオル事業を入り口とした資産活用コンサルティングの展開を挙げる。

 國竹タオル店の創業は1917(大正6)年。地域に根差した経営で、顧客からの信頼を得てきた。年末になると名入れタオルを依頼する人でにぎわう。多くが地域の事業者で、数千組にも及ぶ顧客リストがあり、「宝の山だ」と言う。

 三田社長は「タオルと不動産の意外な接点」を見いだし、地域事業者に対して資産コンサルを提案していくことで、「これから結果を出していく」と力を込めた。

 既存の建て売り事業は、今秋には本格化させていくほか、このほど超長期住宅先導的モデル事業に採択された共同住宅「三郷200年住宅開発計画」(埼玉県三郷市=5面に関連記事)の事業化に着手し、10年の完工を目指している。

 「楽観的かもしれないが、首都圏の主だった建売住宅の在庫処理は今年半ばには終わる」と三田社長は予測する。「デベが販売に特化しており、値段も下げざるを得ない。値ごろ感が出てくれば売れていく」からだ。

 更に、「団塊ジュニア世代が、一生のうちに最もお金を使う40代に差し掛かろうとする10年以降は、極端に住宅の供給が足りなくなる」と分析。「新興デベが壊滅的な状況の中で、事業を確実に行っていけば、必ずチャンスが訪れる」と期待を寄せている。

 

 

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 他方、地域ビルダーの生き残り策として、「環境」を切り口の1つに、事業構造の変革を試みる動きがある。

 全国の工務店や不動産会社を組織するハイアス・アンド・カンパニー(東京都港区)の濱村聖一社長は「経済成長を高める牽引役として、不況の今こそ住宅関連企業が率先して『環境』を取り入れるべきタイミングだ」と話す。既に世界的な取り組みとして「環境問題を経済回復の切り札とする動きがある」と指摘。特に、「環境問題を国家安全保障問題と経済成長策として考えているドイツ」の取り組みを挙げ、今後の道筋の事例として示した。実際、「ドイツを訪れる住宅会社の社員が多い」という。

 もっとも、従来から大手ハウスメーカーを中心に環境に配慮した取り組みは進んでいる。一方、コストも高く、必ずしも販促に寄与しないという声もある。

 それに対して濱村社長は「従来の環境対応は、公害対策、健康問題、社会コストの削減といったレベルだった」と指摘。「今後、消費者を重視した政権が実現すれば、個人の出費を抑える省エネを国策として行うことになる」と予測し、「それを加速させる材料が住宅のエコロジーだ」と強調する。

 こうした動きに対応するため同社では、既存の工務店などのネットワークに加え、「環境」に特化した組織を構築する可能性があることも明らかにした。

 設備や技術力を投入して環境に配慮する住宅ではなく、植栽や地域の気候を生かした自然エネルギーを取り入れ、コストを抑えた自立循環型住宅の供給を目指す。「先行している大手ハウスメーカーに対抗し得る住宅を、地域工務店でも実現できる仕組み」を構想しており、濱村社長は「これまでの概念とは違う、『いわば超・省エネ住宅』が09年の生き残りを掛けた取り組みとなる」と強調した。

 加えて、同社は住宅購入希望者向けの新事業「ハウジングレップ」を開始した。住宅購入の相談から見積もりの取得、住宅会社の選定まで、エンドユーザーの側に立った購入支援を行う。

 濱村社長は「今後、地域有力ビルダーのショールームや家具店と提携して相談拠点の構築を進める」と話す。住宅展示場だけに頼らない新しい住宅購入の仕組みの確立が目標。挑戦の日々が続く。

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