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スタンダード会員限定注目集まる『ワケあり』 心理的瑕疵物件を仲介 優先するのは売主救済

住宅新報 2010年10月26日 号 4面

 「再建築不可」「裏手に工場がある」など、一般的に敬遠されがちなデメリットのある『ワケあり』物件を集めたサイトが増えている。相場より割安なケースが多く、低価格志向のニーズと合致しているようだ。大手賃貸フランチャイズのアパマンショップネットワークもこの夏、自社サイト内に特集コーナーを設けた。

 不動産会社専門のホームページ制作会社ディープ(東京都港区)は、首都圏の売買物件を対象とするワケあり物件サイト「戸建て見切り品」を09年に開設。閲覧数の平均は月間4万ページビューに上り、問い合わせも寄せられるという。掲載数を増やし反響に応える狙いで、7月には物件掲載を無料化した。「安いなら、と割り切る人が最近は多い。住居の選択肢が広がっている」(同社)と指摘する。

 

 

 

 

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 一方、ワケありの中でも扱いが難しいのが、心理的瑕疵(かし)物件だ。事件や事故、自死などにより人が亡くなった物件を指す不動産用語で、事故物件とも呼ばれるもの。これらを仲介する不動産業者には、購入希望者にその事実を告知する義務がある。具体的年数の定めはないが、過去の判例によると、死亡時から約20年間が目安のようだ。

 首都圏を対象に、こうした物件の仲介を数多く手掛けるカヌマ不動産(埼玉県熊谷市)の神沼芳広代表は、「依頼件数が最近増えている」と話す。背景には、自殺や高齢者の孤独死といった社会問題が見え隠れする。

 同社が同物件を扱い始めたのは2年半前。神沼氏が知り合いから、「上司が縊(い)死した住宅を買い取ってほしい」と頼まれたことがきっかけだ。気乗りしないまま現地を訪れると、そこには想像以上にショッキングな光景が広がっていたという。清掃業者が入る前だったこともあり、故人の亡くなった場所が一目で分かったのだ。

 だが、そこが好条件を備えた物件であることにも気付いた。日当たりが良く、築年数も8年に満たない。「良質な住居として、再生する余地があるのではないか」(神沼氏)。

 そう考えて、約100万円を投じ壁クロスや床を張り替え、相場の6割程度に価格を下げ販売。「告知事項」の内容を知ると大半の問い合わせ客は身を引いたが、最終的に50代の夫婦が購入していった。退職後の新居を割安に購入でき、素直に喜んでいたという。「(物件が)もったいない」という発想が原点だったが、身内の死を乗り越えようとする売主にも朗報をもたらす結果となり、心理的瑕疵物件に可能性を見出した。

 とは言え、1つの案件に費やす労力は並大抵ではない。相談依頼を受けると、遺族に死亡状況や家族構成について聞き取りを行い、仲介などの選択肢を提案。周辺相場や物件調査のほか、一時的な転居の手配についてもコンサルティングする。やり取りは平均5回に上るが、この過程に対する報酬は受け取らない。突然の訃報に接し途方に暮れている、売主の心情に配慮してのことだ。「利益至上主義でやっていい事業では、決してない」(神沼氏)。その信念があれば、苦労とは感じないという。

 もちろん、買主に購入を無理に勧めることもしない。「(瑕疵が)少しでも気になるならやめた方がいいし、家族全員が同意しているなら検討すればいいと思う」(神沼氏)。同氏の実感では、100人に3人程度の人が『気にしない』とのことだ。

 

 

 

 

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 心理的瑕疵という『ワケあり』物件について、その特殊性を逆手にとりビジネスチャンスととらえる向きも、少なからずある。そんな中で同社の取り組みは、こうした過去の傷を持つ物件と、真摯(し)に向き合う姿勢を提示している。

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