市場活性化特集 「新成長戦略で明るい未来を築け!」 紙上対談シリーズ 論点・再録(下)
住宅新報 2010年10月12日 号 1面
次世代の「都市インフラ」創造も都市インフラの維持・整備
「大都市インフラ維持・整備のために民間活力をどう活用するか」をテーマにしたのが第6回。長安豊・国土交通大臣政務官(当時)と安昌寿・日建設計副社長。高度成長期に整備された新幹線や高速道路、橋梁などの都市インフラが老朽化、改修期・寿命期を迎えていることにどう対応するかが喫緊の課題。
長安政務官は「限られた財政の中では、大都市インフラの整備に関しても個人の金融資産を有効に使う形で維持管理・整備をしていくことが重要」との考えを示し、「優先順位を付け戦略的に取り組む」方針を明らかにした。具体的にはPFI事業とPPP事業で民間活力を導入するほか、創設予定の「インフラファンド」も改修や維持管理などに活用していく考えだ。
安副社長は「PFIやPPP事業でも、独立採算型のものは、ビジネスとして構築できるよう民間の知恵を出す」ことを前提に、コンベンションセンターでの可能性を示唆。次世代のためにも「スポーツや文化などを都市インフラとして、都市生活の新しい需要を創造すること、そのために国公有地の活用も必要」と強調した。マンション老朽化対策
第7回は「マンションをどう維持・管理していけばいいか」について、笠浩史・民主党衆院議員と坂倉徹・一般社団法人マンション計画修繕施工協会会長。09年末時点の分譲マンションストックは562万戸で、約1300万人が暮らす。だが、築30年以上の建物が1割を超えて、今後老朽化が加速する一方、居住者・管理組合の高齢化も同時に進む。その認識で、笠議員は「地域コミュニティにとっても重要な課題」としたうえで「良質なストック形成のために国や地方公共団体がどう支援していくか。現行制度に加え、新たな仕組みづくりが必要」との考えを示した。
一方、坂倉会長は大規模修繕工事で実績のある専門業者団体の立場からマンション管理問題を分析、管理組合支援について言及した。「マンション管理問題に関連する法律はたくさんあるため、管理組合で対応しやすいように行政窓口のワンストップ化」を求めたほか、「建て替えよりも『長く使いたい』という要望に対応する法整備や支援策が必要」との考えを示した。また、「専門業者のノウハウの活用」なども強調した。林業再生と木造住宅振興
第8回は「森林・林業再生と木材住宅振興をどう進めればいいか」。環境問題と密接に絡み、しかも地方経済の活性化への期待もかかるテーマ。林業や住宅政策に詳しい前田武志・民主党参院議員と、森林育成から住宅までを一貫して手掛ける住友林業の矢野龍会長。
経済対策としての林業と木造住宅振興について前田議員は「ベースになるのは5700万戸の既存住宅ストックの省エネ・耐震改修」と指摘。「住宅改修と林業の再生は直結しており、地域材、地域の人材やお金をフルに活用することで、持続可能な地域経済づくりつながる」との考えだ。そのため、「耐震改修や省エネ改修にインセンティブを与える必要がある」ほか、林業再生のために「木の文化」や「森林経営者」の育成も必要との考えも示した。
一方、矢野会長は「林業は国際競争の中で停滞してきた」が、世界の木材需給が大きく変わってきたことで、将来的には可能性が出てきたと指摘。「国策として長期的な視点、サスティナブルな仕組みを確立する必要がある」と訴える。森林・林業は「唯一再生可能な資源」であり、木はCO2を吸収・固定する。「木造住宅は都会に森林をつくる」のと同じ効果もある。木造住宅振興のためには「もっと規制緩和が必要」と強調した。
(柄澤
浩)













