秋の商戦 序盤は堅調 住宅テコ入れ策が効果
住宅新報 2010年10月5日 号 1面
秋の住宅・不動産商戦が本格化してきた。日本経済は低迷から脱し切れていないが、首都圏市場は住宅資金贈与の非課税枠拡大やローン減税などの税制優遇といった住宅テコ入れ策が一定の効果を上げているため、秋の需要期序盤は比較的堅調な出足になったようだ。マンション
高契約率が持続
年末にかけても、年度明けから続いている好調な契約率が継続するというのが大方の見方だ。マンションコンサルティング事業を手掛けるトータルブレインの久光龍彦社長は、「70-80%近い高い契約率を示すだろう」と予測する。
その要因は「好立地・適正価格」の物件が今後も多く供給されることにある。昨今の低迷する経済や所得環境から、供給サイドは『消費者目線の価格設定』を徹底している。
販売の売れ行きが好調でも、以前のように「もう少し価格を上げていればよかった」と悔しがるのではなく、「市場に受け入れられて本当に良かった」と安堵する意識の変化が見て取れる。
大手や準大手、電鉄系、商社系といった資金力が豊富なディベロッパーに事業機会が偏っている点は否めない。
このような環境下で、高額物件を次々に供給する三井不動産と三菱地所。都心居住を全面にアピールする住友不動産。マンション市場の回復感のさきがけとして位置付けられる「プラウドシティ池袋本町」を供給した野村不動産。東急不動産は、一時期「最も売れ行きが鈍い」と指摘されていた販売価格6000万円台クラスのマンション(東京・雪谷、総戸数90戸)を、連続完売で見事に売り切った。
ただ、高い契約率とはいえ、数年前の8万戸供給時代の半分のボリューム下での数字だ。更に、人気の都心とはいえ少しでも立地や価格設定に間違いがあると、売れ行きは極端に悪化する傾向にある。
久光氏も「マンション市場が『回復した』とは思っていない。企業努力で価格を下げた結果の今の状況だ。今後、建築費の上昇などが起こりそれが価格に反映されるようなことがあれば、売れ行きは再び鈍るだろう」と警告する。流通市場も安定
流通大手は8月下旬から9月にかけて秋の不動産フェアを展開。首都圏は住宅価格が安定化してきたことなども加わって、これまでの堅調さが続いているようだ。
「三井のリハウス」でキャンペーンを展開した三井不動産販売によると、「出足は極めて順調。首都圏は8月、9月とも成約件数が前年を上回り、売約依頼も増えて来た」という。要因は「価格が安定してきたことで、長い目で『買い時』と見ている人が増えてきたのでは」と話す。
また、東急リバブルでも「政策の後押しもあって、土地、戸建てとも堅調。中古マンションも7、8月は前年を上回った。特に東急沿線のほか、都心型店舗が好調」という。
一方、東日本レインズなどによると、中古マンションの成約件数が減速、前年を下回り始めた。前年がよかったためでもあるが、「あまりぱっとしない」という声も。「新築が供給され始め、好調だった築浅物件が押され気味」という分析だ。「土地、戸建ては比較的堅調に推移し、客足も悪くないが、不透明感が残る微妙な状況」と表現する。ハウス
1次取得者中心に好調
住宅市場は一次取得者層を中心に客足は堅調に推移しているようだ。
9月11日に神奈川県川崎市にオープンした「SUUMO住宅展示場武蔵小杉」では9月末までに2678組が来場。「想定以上の集客数」(運営会社のリクルート)となった。オープンから2日間では、1300組が足を運んだ。小学校入学前の子供を持つ一次取得者が大半。一般に展示場で開催されるイベントを目的に来場するケースもあるが、「本気で住宅購入を検討している人が多い印象」という。
横浜の展示場「tvkハウジングプラザ横浜」では隣接地に、リフォームや太陽光発電システム、ホームセキュリティ関連6社が出展するショールーム「ヨコハマくらし館」を開設した。隣地に開園している英国式庭園などとの相乗効果もあり、「9月はまずまずの出足」だったようだ。
住宅資金贈与税の非課税枠の拡大など住宅取得に関する税制や住宅ローン支援策が拡充されており、住宅業界にとって追い風だ。
積水ハウスは9月に全国2480カ所で「住まいの参観日」を実施し、2日間で13万組が来場した。「急激に市況が好転しているわけではないが、堅調に動いている印象」(広報担当者)と話す。
また、大和ハウス工業も「8月の受注実績は前年同期比8%増。状況としては良好と捉えている」という。













