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スタンダード会員限定住宅・都市・不動産業 新成長戦略で明るい未来を築け! 紙上対談シリーズ(6) 大都市インフラ 維持・整備のために民間活力をどう活用するか

住宅新報 2010年9月14日 号 7面

 シリーズ第6回は「大都市インフラ維持・整備のために民間活力をどう活用するか」。財政難の中で、都市インフラの老朽化が深刻化、喫緊の課題となっています。鍵はPFIやPPPなど新しい事業手法の積極的活用。長安豊・国土交通大臣政務官と、安昌寿・日建設計副社長に、今後の方向を語ってもらいました。3つの制約要件

 長安政務官

 日本の現状は、人口減少、少子高齢化、膨大な財政赤字の3つの制約要件があります。一方で高度経済成長期、とりわけ東京五輪の前後に大都市へのインフラ投資が集中的に行われました。新幹線や道路、橋梁も。それがいま40年、50年経って、一気に改修時期、寿命期を迎えました。財政が潤沢であれば、一気に改修できますが、そうはいません。将来的な展望を見ると、維持管理にお金がかかるため、37年頃には新しいものをつくるのにお金が回せない事態がきます。

 橋梁などでは、予防保全で補強をして寿命を延ばすことができますが、10年くらいしか延びず、47年頃には難しい局面を迎えます。

 限られた財政の中で、大都市のインフラ整備に関しても、個人の金融資産(1400兆円)を有効に使う形で、維持管理・整備をしていくことが重要だ、と。それが成長戦略会議としての最終的な結論です。民間の知恵を出して

 安副社長

 インフラの整備水準を上げる、更新時期を迎えたインフラをどう整備するか。「財政に依存しないで民間の力でできないか」の知恵を出しなさいということが、成長戦略のテーマでした。

 PFIやPPPで、独立採算型の、インフラの中でも長期安定的な分野で、ビジネスとして切り出しできそうなものについて、民間がもっと参入できるのではないかということです。事業のサポート体制を重要な政策としてもらう一方で、我々も、どう組み合わせてビジネスとして構築できるか、について知恵を出すということです。

 例えば、「チャレンジ25」などは一種のキャンペーンですが、環境に優しい社会づくりをしようというのは好ましいことです。日本の大都市のGDPとそれを生産するのに必要な一次エネルギーの使用量は世界最高水準にあります。「環境」「都市インフラ」は、誰も反対しない大きなテーマであり、欧米の先進国と比べると高い水準にあります。例えば、雨水が下水道とか河川に直行しないように民間の側で整備をするための支援措置を取る。また、汚水を循環させるなど静脈系インフラの負担軽減など、です。深刻な老朽化対策

 安副社長

 インフラ施設の老朽化は深刻です。それでも必要なものは必要で、廃棄できません。そうした公共施設整備の差し迫った課題がたくさんあります。そのことが国民に共有できているかどうか。インフラは機能しなくなって初めて、ありがたさが分かります。道路や鉄道は都市政策であると同時に、経済政策ですし、社会福祉・高齢者政策ともつながります。

 必要なものは必要だということを、まず押さえていただく。その上で、社会福祉の事業と連携させる中でインフラ整備を行う。更新需要、老朽化対策は独立採算事業を切り出していくなど、民間が自助努力できるようにしていくべきです。実態把握と戦略的対応

 長安政務官

 インフラ整備について、実際に老朽化した施設がどれだけあって、後何年で壊れるとか、改修するためにどれくらいのコストがかかるかを把握している自治体はまだ少ない。これは国にとっても重要です。国と自治体が連携して効率的に、戦略的に維持管理・改修していくことが重要です。財源的にも組んでいく必要があります。

 10年度予算では、我々はあえて新規の事業を一旦止めました。事業評価の仕組みを改めて、需要予測まで踏み込んで、「選択と集中」の中で、本当に必要なことを示した上で予算付けする考え方です。維持管理の判断基準

 安副社長

 都市分野でも選択と集中が非常に重要です。「コンパクトシティ」の考え方を、インフラの維持管理の判断基準にしてもらいたい。選別してメリハリをつけて。民間がビジネスをする立場で、ハードだけでなくソフトインフラも含めた支援措置を。概算要求ではそういう方向が出ています。国民的な理解を得るために、キャンペーンを含めて、リーダーシップを発揮していただきたい。PFIの実績と目標

 長安政務官

 PFI法が施行されて11年。この間、実績は366件、そのうち国交省が91件でした。ただ、内容はサービス購入型の箱ものばかりで、本来の意味からすると、まだお粗末です。国交省の成長戦略会議の中で、民間の資金、ノウハウを生かしたPFI、PPPができる仕組みに変えていこうと、私も内閣府と議論をしてきました。来年の通常国会に法改正を出すところまで進んでいます。

 PFIでは、コンセッション方式を新たに導入しようと考えています。また、ノウハウを持った公務員の出向についても規制を緩和していきたい。大切なのは民間の事業者の提案を柔軟に聞いて、生かすことです。

 まず、柔軟に受け入れできる体制づくり。続いて、例えば、公営住宅、船舶、衛星といったものにも導入できるスキームにしたいと思っています。具体的には、国交省だけで今後10年間で2兆円、従来の2倍のPFI事業をつくっていくという目標を掲げています。PFIの改善点

 長安政務官

 入札の仕組みなどは、民間側から提案できる形に改善したいと思います。事前に様々な提案をもらい、発注者と相談をしながら案件を作り上げていくようにです。PFIやPPPの仕組みは今後、世界的、とりわけアジアでインフラ整備需要は爆発的に増えていきます。年間で150兆円あるという推計もあれば、あと20年で3000兆円という推計もあります。日本企業がPFIやPPPの提案をするには、まず、国内で実践を積み、提案力を強化することが重要です。都市の魅力を視野に

 安副社長

 今回のPFI法改正では、公園や道路などの都市空間全般について、魅力を高める、内需・需要を喚起する、様々なものが視野にあることを、積極的にPRしていただきたい。そうすれば、面白い提案がたくさん出てくると思います。

 例えば、名古屋市と愛知県では、「名古屋にとって100メートル道路は、魅力的な活用ができているか」という議論があります。需要創造のためにどう民間の活動が誘発できるか、文化インフラとして位置付けられるか、です。スポーツを含め、都市レクリエーションに関する活動もインフラ整備と位置付けて、どんどんやらせるべきだと思います。

 長安政務官

 PFIやPPPは都市再生分野でも有効です。コンパクトシティは、とりわけ大都市圏では職と住を近接化させ、徒歩と鉄道で生活できるように、歳を取っても便利に、というものです。一方で、都市再生にはお金の出し手がなかなかいないため、民都機能が持つ機能は重要です。民間資金を引っ張る呼び水としての役割を、民都機構が担うことになると思います。ファンドの位置付け

 長安政務官

 インフラファンドは、英国で立ち上がり、欧米では現在資産残高が700億ドル以上あると言われています。今回、日本でインフラファンドの枠組みをつくるため、内閣府が概算要求で150億円を要求。それと民間資金で約500億円規模になると思います。案件形成は事業官庁である国交省が行うということで、概算要求でも14億円を盛り込みました。案件形成とファンドを同時進行で、両輪で進めていこうと思います。投資先のイメージは道路、港湾、空港の新設、維持管理、再生や都市の再開発など幅広く適用していきます。

 安副社長

 インフラファンドの使われ方としてイメージできるのは、都市開発の道半ばの状況での救済です。都市開発の初動期は目標形成が非常に難しいですし、しかも道のりが長い。その意味で、リスクは無限大で、ビジネスモデルとしては成立しにくい。その道のり半ばまで来て「倒れそうなところ」が出てきた場面です。リターンをどうするか

 長安政務官

 ファンドですから、投資に対するリターンがなければならない。例えば、道路の維持管理だけでは「リターンがない」。国がサービスを購入することでリターンしていくことがあるかもしれませんが、そこは知恵の出しどころです。

 道路を造る場合、例えば、空中権が運用できるかどうか。道路の上にビルを建てて、賃料が発生すれば、それがリターンになります。単に道路を造るだけではなく、道路プラスアルファの、リターンが返ってくる仕組みをつくる。それに投資するのがインフラファンドです。

 安副社長

 概算要求の資料に、コンベンションセンターという言葉が数多く出ています。国際ビジネスインフラで、日本が近隣諸国にに劣っている施設です。民間ビジネスとして収益性が保証されていない施設で、しかも、成功させようとしたら便利なところでなければならない。官民の役割分担が上手くデザインできれば、その施設は象徴的な、すばらしいPFIの第一歩になると思います。今後の都市インフラ

 長安政務官

 インフラには、新たに付け足しながらも使っていかなければならないインフラ、投資をせずに今あるものを有効に活用していくインフラ、寿命がきたらあきらめざるを得ないインフラの3種類があると思います。維持管理をしていく場合でも、新設をする場合でも、選択と集中の中で、優先順位をつけなければいけません。しかも、透明性のある事業評価、順位付けが重要です。

 今後のインフラ、整備維持のあり方は、社会資本整備重点計画の中で明確に示して、それをマスタープランとしていきたいと思います。

 安副社長

 大都市の都市開発をけん引する最大の力は旺盛なオフィス需要で、それがPFIなどのビジネスモデルを支えていました。ところがオフィス需給が崩れ、当てにできない状況になりました。選択と集中で、インフラの維持更新の負担軽減を図ることのほかに、次世代の都市生活のための新しい需要を創造していく必要があります。

 需要を創出していく意味合いでのプロジェクト探し、事業モデルが構築できるかどうか。それがポイントで、そのために国公有地をどう活用するのか、といった考え方が必要だと思います。長安

 豊

 (ながやす・たかし)

 衆院議員、当選3回(大阪19区)。三井物産社員、衆議院国土交通委員などを経て、09年9月より現職。東大工卒、42歳。安

 昌寿

 (あん・まさとし)

 都市計画家、06年1月より現職。国土交通省成長戦略会議委員(住宅・都市分野座長)。京大工院修了、61歳。

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