中国需要を取り込め
住宅新報 2010年9月14日 号 1面
中国人需要が国内の不動産業界で、ひときわ存在感を高めている。移住はもとより投資や留学といった国外に対する姿勢は、もともとポジティブな国民性とも言われる中国人。反響数もけた違いなら、需要の広がりも大都市にとどまらず地方圏にまで及び、どこまで需要が伸びるかは未知数だ。中国人需要の取り込みに力を入れる売買、賃貸の不動産市場をレポートした。反響がうなぎ登り
ユーエスマネジメンツ
東京・池袋に店舗を構えるユーエスマネジメンツは、中国人を専門とする不動産仲介会社だ。上島透社長は、「中国人の不動産購入意欲は年々高まりを見せている」と話す。
現在の事業スタイルは、日本に住む中国人に日本の不動産を紹介するもの。3人のスタッフは全員、中国語が話せる。事業を始めた5年程前は月に1件の成約だったのが、今は月5件以上。月1回発行の中国語で書いた不動産案内冊子200冊で、問い合わせ件数は10本に上るという。「日本人相手だと20万冊で同程度」(上島社長)の状況と比べると、反響率の高さがうかがえる。
同社の中国人専門のビジネススタイルが中国本土でも認知され始め、最近は上海の投資家などから物件紹介の依頼が来るようになったという。1棟ビルや賃貸マンションのほか、中古ワンルームなどが主流だ。
彼らの日本への投資意欲増加の背景には、上海の物件価格が頭打ちしていることがあるようだ。「日本のワンルームマンションなら、立地が良ければ1500万-2000万円の物件で10万円程度の家賃は取れる。上海で同程度の物件を取得しても10万円はまず無理。有名企業の大卒の初任給が10万円程度だから」(上島社長)と言う。
また、高額クラスだと、3億円の日本庭園付き高級住宅に数人の投資家から問い合わせが来ているという。そのほか、中国人の日本国内の観光ルート上にあるホテルに注目が集まっているようだ。
現在同社では、上海で現地事務所の設立準備に入っている。年内にもオープンさせたい考えだ。現地旅行会社とタイアップし、日本の不動産を見て回るツアーの企画が進行中だという。留学生向け賃貸が活況
レオパレス21新宿店
中国人の不動産需要は、賃貸住宅の分野でも旺盛だ。日本のグローバル戦略の一環として、平成21年にスタートした「国際化拠点整備事業」通称グローバル30に基づく「留学生30万人計画」がこの流れを加速させているからだ。同事業は、(1)母国での日本留学の動機付けや情報提供、(2)入国、入学の受け入れ体制の改善、(3)学校などのグローバル化推進、(4)住宅確保をはじめとする受け入れ環境づくり、(5)卒業・修了後の社会の受け入れの推進を、関係省庁が連携してワンストップで整備する国家プロジェクトに位置付けられている。
現時点における海外留学生の数は、日本語学校などの就学生4万人を加えると約17万人に上り、この約6割を中国人が占めるといわれる。これを2020年をメドに30万人に引き上げる目標で、経済成長が著しい中国をはじめアジア圏からの留学生の増加が大いに期待されるところだ。
受け入れる学校側を見ると、同事業が国際化拠点大学として重点育成する受入れ校として、東北大、筑波大、東大、名古屋大、京大、大阪大、九州大の国立7校と慶應大、上智大、明治大、早稲田大、同志社大、立命館大の私立6校が選定を受けた。このほか、北海道大、神戸大などの国立5校と東海大も申請中で、事業予算に応じて今後更に増える可能性がある。
国内の賃貸市場には、こうした事業の効果がはっきりと見えるようになってきた。東京・新宿にあるビルのワンフロアーに、空中店舗ながら賃貸住宅の入居申し込みに訪れる外国人客でにぎわう不動産店舗がある。レオパレス21のレオパレスセンター新宿店だ。来店しているのは主にアジアからの留学生たちで、季節がら10月からの修学を予定する中国人留学生がほとんどだ。新宿店には日本人向けと外国人向けの2つの窓口カウンターがあるが、人気もまばらな日本人向けカウンターをしり目に外国人カウンターには熱気が漂う。
レオパレスでは韓国や中国への店舗展開に加えて、現在、日本に留学した経験を持つ中国人や韓国人スタッフが顧客対応にあたる外国人専用店舗を、東京はこの新宿のほかに池袋、大阪、名古屋、福岡の5拠点展開している。
(5面に続く)













