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スタンダード会員限定事業会社へ成長資金を供給 東急リアルエステート・インベストメント・マネジメント(株) 代表取締役執行役員社長 堀江正博氏

住宅新報 2010年9月7日 号 7面

Jリートが果たす役割

 Jリートが果たす役割は、(1)不動産流動化促進と資産デフレ脱却と、(2)不動産収益を小口分配する金融商品の提供と言われていますが、加えて常々申し上げているのは(3)不動産市場の近代化(規律と透明度向上)、(4)社会インフラの整備(民間資金による耐火耐震性の高い建物の供給)、(5)本邦経済の成長と効率化(不動産引き受けによる事業会社への成長資金の安定的供給)です。特に、(5)は「リートの投資活動を通して、日本の潜在成長を高めていく」もので、新成長戦略とも方向性は一致すると思います。

 事業会社は、バランスシートの中にたくさんの不動産を抱えていますが、それをリートに売却することで、事業会社にはより安いコストで資金を調達し、それを本業に投資してもらうことができます。一巡して予測可能性増す

 当リートは03年、マーケットが底の時期に上場し、成長・拡大期、リーマンショック、その後の低迷期を脱し、ようやくマーケットの一巡を経ました。この間、想定していなかった事柄も起こりました。その代表例はリファイナンスの問題です。財務体質が強くなるよう制度設計したのに何で苦労するのかと。

 それが2巡目に入ると、「恐らくこの程度で」という予測可能性が上がります。投資家にも、レンダーにも。リートの資金調達についても、デッドもエクイティ双方とも、第2ステージではより安定的に供給されやすい環境になると思います。

 我々は投資運用事業者としての規律をしっかり持ち、説明責任を全うし、市場や関係者との対話を進めることが重要です。それらをきちんとクリアすることで、まだ証券化されていない不動産の受け皿になれる。投資や資金調達の世界は国際競争です。海外の投資家に国内不動産を買ってもらいながら、また、景気回復と魅力向上により内部成長を図る。そうした成長シナリオが描けると思います。電力株に似た「株」

 個人投資家のお金を何とかリート市場にという思いは関係者共通です。貯蓄から投資へという全体的な流れの中で、私たちが最初のエントリー商品になれればと。実のところ「リートは株式だ」と思います。ミドルリスク・ミドルリターンの株式、利回り株と言われる電力株に似ています。リスクとリターンのことをよく理解してもらって、個人投資家に買ってもらうように丁寧な説明と堅実なマネジメントが大事だと思います。

 リートは安定的な電力株とほぼ同じような性格がありますので、若い人たちを対象に「マンションの購入資金の頭金づくりに活用してみては」と提案したい。かつて住宅金融公庫で行っていた「つみたてくん」のように。利回りは定期預金より高く、不動産リスクを取っているのでマンションが値上がりしてもヘッジできます。賃貸派の人には資産形成で貢献できます。賃料が上がる時にはリートの分配金も上がる可能性が高いし、若い人たちには保有か賃貸かの選択肢が広がります。不動産価格の変動リスクがヘッジできる投資商品と言えます。活性化のための提言

 まず、「減損損失リスク」への対応です。一般的に損失を相殺するため、他の物件を売却してキャピタルゲインを得るという方法が考えられますが、この対応が難しい。会計上は損失だが、税務上は損金にならない、税務と会計の不一致がある。事業会社の場合、繰り延べ税金資産のような制度がありますが、リートの場合、法人税を払わないのが前提で、その対応の難易度が非常に高くなるわけです。

 このほか、事業会社と比較して、リートが制度的に劣後している部分の手当てを政府にはお願いしたい。そこに差があるため、市場からつけ込まれる、リスクプレミアムの追加となるわけです。

 順番をつけると、まず「減損」対応で、続いて「減資」手続き。3つ目が「自己株消却」です。特に、多額のキャピタルゲインが出た場合、それを原資として自己株消却ができると、資本金やレバレッジ水準は変わらないのに、投資口数は減りEPSを押し上げるので、中長期的にはありがたい。

 更に、制度面では、「50%の国内公募要件」を緩和してほしいことです。金融危機など市場環境が悪い時、金融機関の増資のほとんどは海外で消化されましたが、リートは50%が限度です。税務上の理由があるようですが、市況が悪いときにも、リートがエクイティを調達して、物件をきっちり買っていくという政策目的があるのなら、ぜひとも手当てしてもらいたい。買い換え特例の対象に

 もう1つは、不動産の買い換え特例の対象にリートも入れてもらいたいことです。都心部の不動産は個人の区分所有や共有など権利関係の複雑な物件がたくさんあり、優良物件であっても権利面で流動性を落としている部分があります。

 そうした案件の権利を中長期的にリートが買っていくことで、権利関係はほぐされ、集約されていきます。時間はかかりますが、権利を一本化する器としてリートを活用するわけです。相続などが発生する都度、権利をまとめていく。将来的な再開発などに役立つ効果も期待できます。地権者もハッピーだし、リートにとっても新たな事業になります。堀江正博(ほりえ・まさひろ)

 84年東京急行電鉄入社。01年東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント(株)設立と同時に出向、代表取締役副社長。02年から現職。48歳。

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