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スタンダード会員限定長期優良マンション 技術力と普及への鍵(下)

住宅新報 2010年9月7日 号 1面

戸建て住宅ではメリット浸透で売りに

 国土交通省の調査によると、長期優良住宅の認定戸数は制度を開始した09年6月4日から10年7月末までの1年余で8万9578戸。毎月4000-5000戸程度だった制度開始当初に対し、7月には9586戸を認定した。順調に増加を続けているように見えるが、認定を受けたほとんどが戸建て住宅。マンションなどは僅か2053戸、全認定住宅の2%程度に留まっている。

 長期優良マンションを普及させるうえで大きな壁になるのが、長期優良仕様とするためのコストアップだ。そのコストアップへの捉え方が戸建て住宅とマンションで異なっている。

 普及促進に向けて、業界からのヒアリングを行っている国交省は、「戸建て住宅では、ハウスメーカーも地域のビルダーも長期優良住宅を売りにしている。消費者にもメリットとの認識が広がっているようだ」と話す。加えて、注文住宅では施主、つまり住宅購入者が計画段階から入るため、長期仕様への提案が容易であることも要因の1つのようだ。一方、マンションは「市況が良くない現状、値段を抑えて売りたいという考えが強いと聞く」(国交省)マンションは配管基準「厳しい」

 また、長期優良住宅の認定基準にも違いがある。求めることは同じでも、戸建てとマンションではそのクリアの仕方が異なってくる。9項目(劣化対策・耐震性・維持管理、更新の容易性・可変性・バリアフリー性・省エネ性・居住環境・住戸面積・維持保全計画)からなる認定基準のうち、その1つが維持管理・更新の容易性。配管設備に関する基準だ。

 基準では「構造躯体などに影響を与えることなく、配管の点検や補修などの維持管理を行うことができること」と「更新時の工事が軽減される措置」を要求。これをマンションで満たす場合は、『共用』配管を住戸外に設置することが必要だ。これはマンション特有の措置となっている。

 共用配管を住戸外に設置するためには、例えば南側に設置する場合、北側からの配管は床下を通すことが必要。かつ、勾配をつけるための高さが求められる。必然的に階高の上昇に繋がり、コストアップに直結する。国交省へも、「配管の基準が厳しい」という声が特に多く寄せられているという。

 更に、維持管理・更新の容易性は販売現場でも、消費者の理解が得られにくい部分でもあるようだ。

 「配管を更新しなければいけないのは30-40年後の話。30-40年後の更新のために、コストアップというのは、ユーザーにとって、現実的に受け入れにくい要素になっている」

 初の長期優良認定マンション、ブランシエラ浦和を供給する長谷工コーポレーションの河村順二・執行役員はそう話す。

 毎日の光熱費に還元される省エネ性や地震への備えとなる耐震性などと比べ、配管の老朽化対応に対する投資に理解を示す人は少ないようだ。

 認定マンションが普及しない現状を踏まえ、国交省・成長戦略会議が5月にまとめた成長戦略では、普及促進に向け、基準の見直しを提言した。これを受けた国交省は見直しを検討。配管基準の緩和はその中の論点の1つになる見通しだ。

 国交省は長期優良住宅の位置付けを「超ハイスペックではなく、標準住宅よりも少し高い水準のもの」と説明。基準見直しの検討では、「事業者にとって目指しやすく、参入しやすい形を模索していきたい」と話している。情報共有と認定制度

 そしてユーザーも

 長期優良マンションの普及に向けては、供給業者などが消費者にそのメリットを上手に伝え、理解を促していくことが重要だ。また、国交省が模索する「事業者が目指しやすく、参入しやすい形」も鍵になってくるだろう。

 更にここでもう1つ注目したいのが、認定基準にもなっている「維持保全計画」。この基準では、定期的な点検や補修の計画を策定することと、その履歴を残すことを求めている。これは、マンションに住む消費者自身が行っていかなければならないものだ。

 「戸建て住宅に比べて、マンションはどうしても資産としての認識が薄くなる」

 管理組合などが管理する共用部がある分、所有者が全てを管理する戸建てとでは差がでてしまうのではないかと。国交省はこうした部分も、標準より資産価値が高くなると期待される長期優良マンションが普及しない要因と見る。

 長期優良住宅法の根本にあるのは、いいものを『長く大切に使う』という概念だ。自分の住むマンションに愛着がある。だから定期的な点検や補修、履歴情報の蓄積も行い、長く大切に使いたい。ひいては資産としても。そうした消費者の意識の広がりこそ、大きな鍵を握っているのかもしれない。

 (葭本

 隆太)

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