全国の中心市街地はいま にっぽん「地価一番」物語(25)さいたま市大宮区桜木町1丁目 日本不動産研究所
住宅新報 2010年9月28日 号 18面
◇さいたま市と大宮駅
さいたま市は人口約123万人、世帯数約52.6万。今後の人口予測だと、15年まで増加傾向と予測されている。埼玉県内で地価が一番高いのはターミナル・大宮駅界隈であり、JR各線(新幹線、高崎線、宇都宮線、京浜東北線、埼京線、川越線)、東武野田線
、埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)が結合され、1日の乗車人数は約33万人。浦和駅、川口駅の約8万人と比較すると約4倍である。◇区画整理で西口が逆転
最高価格地点は、大宮駅西口駅前広場に接面する商業施設(大宮区桜木町1丁目)で、10年相続税路線価は1平米当たり230万円(地価公示ベースでは287.5万円)となっている。大宮駅は、以前は東口が栄えており、91年頃まで東口駅前の商業施設が埼玉県の最高価格時点を占めてきた(参考、10年相続税路線価は191万円)。
大宮駅西口は69年の土地区画整理事業の認可以来、都市基盤の整備が進み、82年に東北新幹線・上越新幹線が開通して北日本への玄関口として、また拡大する東京圏の北方の中心地として発展してきた。85年に埼京線が開通、87年に大宮スカイビル(そごう大宮店)、88年にソニックシティビルが完成するなど、鉄道の整備と近代的なビルの建設が並行して進んだ。
西口に最高価格地点が移動したのは、土地区画整理事業や市街地再開発事業などの基盤整備事業の影響が大きい。最高価格地点が逆転したのは、相続税路線価で見ると92年。西口駅前広場が1平米当たり104万円であるのに対し、東口駅前は101.6万円(91年は西口78万円、東口86.1万円)だった。
大宮駅東口地区は、戦前から賑(にぎ)わいを見せていた。初詣参拝者数で毎年全国ベスト10(正月3日間の合計約200万人)に入る大宮氷川神社や隣接する大宮競輪からの流入客があるためだ。今でも、東口南側の飲食歓楽街「南銀座通り」は人々に愛好されている地区である。◇再生プランを策定中
しかし、都市基盤整備が遅れていた西口地区が基盤整備事業を積極的に実施した結果、賑わいが逆転してしまった。もっとも東口側も手をこまねいていたわけではなく、83年には大宮駅東口第一種市街地再開発事業が都市計画決定されたが、残念ながら、それは実現されることなく、04年には廃止された。
現在、大宮駅周辺地域戦略ビジョンの大枠下、大宮駅東口地区の再生プランの中の駅前周辺地区として事業概要が策定中であるが、計画期間が10-20年と長期にわたるため、再生・賑わいの復活には相当時間を要すると思われる。
私見ではあるが、どこにでも見られる市街地再開発事業に頼るだけではなく、何百年と歴史のある観光資源の氷川神社との共生を図ることや、南側に位置する「さいたま新都心」地区との連携、更に庶民の娯楽の中心であり、集客力パワーのある「南銀座通り」を上手く取り込む方策を図るなど、東口地区の過去からある良き遺産を活用しながら、都市再生を図ってはどうかと考える今日この頃である。((財)日本不動産研究所さいたま支所、不動産鑑定士・伊藤聡)













