「家を持つ」 松岡英雄 新住まいのことわざ(30)
住宅新報 2010年8月31日 号 14面
女の子が生まれると、将来の嫁入りに備えて桐の木を植える習慣があった。育った木で嫁入り道具の箪笥をあつらえるのである。箪笥が2棹(ふたさお)もできるほど、桐の木が大きく成長したというのに、娘はまだ結婚に縁がない(遠い)という親の嘆きである。
箪笥は数えるのに棹という。和箪笥には、両脇に棹を通す金具が取り付けられており、長持ちと同様に、棹を通して持ち運べるようになっている。これが数え方の由来だそうである。箪笥には、衣裳箪笥、茶箪笥、水屋箪笥、薬箪笥、船箪笥、車箪笥、階段箪笥などがあるという。いろいろな用途、目的で箪笥が作られ、利用されてきた。材料は、杉、桜、楢などが使われ、桐が高級品とされる。
日本では、親から子、孫に箪笥を引き継いでいく習慣があったが、今はなくなりつつある。「洗い」をすれば新品同様に戻るのが桐箪笥の利点で、長く使えるのだが、1棹が200万円、300万円となると、なかなか手が出ない。そして、マンションにはクロ-ゼットという便利な収納スペースがあるので、箪笥のない家庭がますます多くなりつつある。













