業界トップに聞く 09年の住宅・不動産景況 厳しさ「昨年並み」か「以上」
住宅新報 2009年1月13日 号 1面
住宅新報社が昨年12月下旬に実施した主な住宅・不動産関連企業を対象とした「業界トップに聞く、新年景況アンケート」(回答者74人)によると、企業のトップは09年の日本経済の見通し、さらに住宅・不動産市場の見通しとも非常に厳しい見方をしていることが改めて浮き彫りになった。経済見通しで「回復の兆しが出てくる」との回答がわずかにあったが、住宅・不動産市場は「昨年並みの厳しさ」か「さらに厳しく」との回答がすべてで、厳しさ覚悟の新年の幕明けとなった。大型住宅ローン減税や優良住宅を対象とした投資減税、相次いで打ち出された経済対策などの効果に期待が集まるが、市場活性化の実は上がるかどうか。不透明感は拭いきれない。
(内容と結果、回答者一覧は2面に掲載)景気「更に悪化」が25%
大型ローン減税には期待
昨年9月の米国証券大手リーマンブラザーズの経営破綻以降、日を追うごとに不況色を強めた経済は、12月には企業の減産・雇用不安に発展、政府与党も緊急経済対策や景気テコ入れのための税制改正などを一挙に押し進めた。
この効果が出てくるかどうかがポイントだが、業界経営トップは非常に厳しい見方を取っている。「昨年後半と同様の厳しさ」とする経営者が7割、「さらに悪化」とする回答も4分の1を占めた。
「100年に一度」とか「未曾有」と形容される世界的な金融・経済危機だけに立て直しには時間がかかり、回復の兆しが見えてくるのは早くても「2010年以降」とする回答が多かった。
また、「実体経済への影響はこれからが本番」との厳しい見方も根強くあり、景気回復への楽観は見当たらない。不動産・住宅
「良くて昨年並み」
景気後退の直撃を受けているのが、不動産・住宅市場。
景気と同様、昨年は年末にかけて極度の低迷・不振に見舞われたが、「活性化する」との見方はなく、「同様の厳しさ」とする経営者が3分の2、「さらに厳しく、マーケットは縮小」とする経営者が3分の1を占めた。
良くて昨年並み、場合によってはもっと厳しくなるということだろう。
「景気の先行き不安が強く」「消費マインドの低下が買い控えを誘発」している現状がどう動くかだが、期待される住宅ローン減税の拡充や投資型減税の創設効果も「前年より上向く可能性はあるが、活性化までは到らない」というところまでか。
「前半はさらに悪化するが、後半は価格改定(引き下げ)した収益不動産を中心に回復の兆しが出てくる」とか、「春頃には底を打ち徐々に回復に向かう」といった比較的早めの回復を期待する経営者もあったが、そうした素早い展開ができるかどうか、スピードも問われているようだ。マンション・ビル
「悪化」が3割超
昨年後半、極度の不振に陥った新築マンションだが、「良くなる」との見方は4人だけで、「同程度」が半数、「悪化する」との見方も3割を超えるなど、厳しい見方が圧倒的だ。
一方、昨年春頃から一転不況色が強まったのがオフィスビル市況。
首都圏でも空室率が高く(悪化)なり、賃料水準そのものも下落に転じ始めているが、Aクラスビルでもその傾向が強まるとの見方が目立っている。流通・投資関連
減退基調か
首都圏を想定して不動産流通の取引件数の増減を聞いたところ、個人取引(リテール)分野では「横ばい」が約半数、「減少」が35%を占めた。また、法人取引(ホールセール)では「横ばい」より「減少」予想の方が多く、昨今の市場の現状を反映しているようだ。これまで取引市場をリードしてきたのがJリートを含めた不動産投資ファンドだが、昨年9月以降は『凍結状態』に追い込まれた。その投資意欲はどうなるか。
金融情勢とも絡むが、「徐々に活発化する」と見る経営者が3分の1あったものの、3分の2は「徐々に減退する」「さらに減退する」と見ている。価格動向も「安定軌道」へ向かうと見るのは少数派で、「下落」基調との見方が多い。住宅着工予測
「100万-110万戸」が大半08年(1-12月)の新設住宅着工戸数は105万-110万戸程度になりそうだが、09年はそれより「増える」(110万戸以上)と見ているのは20%(15人)、逆に「大きく減る」(100万戸未満)と見ているのは14%(10人)で、大半は08年並み前後(100万-110万戸)と予想している。
その着工の中身に関して、個人住宅の建て替え需要が「改善する」は3人にとどまり、「横ばい」より「悪化(減少)する」との見方が上回った。賃貸住宅、分譲住宅ともに「横ばい」よりも「悪化(減少)する」との見方が回答者の過半を占め、いずれも厳しい見立てだった。市場のキーワード
「ローン減税」「金融情勢」
09年の住宅・不動産市場と企業経営の動向を占うキーワードも併せて聞いた。
「市場」では「住宅ローン減税の拡充」が最も多く、以下「金融情勢の推移」「省エネ、エコ住宅」「景気動向、回復のタイミング」「200年住宅」「内需拡大」「雇用対策」などが多かった。
一方、個別企業としては「ストック事業の拡大」「長期優良住宅」「コア事業の収益強化」「環境共生」「事業構造の再構築」「収益基盤の拡充」「地域密着」「顧客第一主義」「リノベーション事業」などの言葉が目立った。













