「マンション事業に転換期」 社説・論説特集
住宅新報 2009年1月6日 号 19面
マンション市場は重い販売在庫を抱えながら新しい年を迎えたが、この在庫をどう圧縮するかが今後の市場立て直しのカギを握っている。
不動産経済研究所の調べによると、首都圏の在庫は11月末現在で1万1000戸を超え、約6年ぶりの高水準だ。実際には販売開始延期プロジェクトや、キャンセル物件など、表面上は「在庫ではない」ものも存在するため、その数は2万戸以上という分析もある。
今回は年間4万戸余りという市場規模を考えると、その重さは6年前の比ではない。しかも、「100年に1度」という未曾有の不況を背後に抱えている。マンション市場はまさに正念場を迎えている。この難局を乗り切るには、「ピンチをチャンスに変える」新たな取り組みや発想の転換が求められるだろう。ローン減税に期待高まる
幸い、与党税制改正大綱で過去最大の「住宅ローン減税」の導入が決まった。業界内でも大きな期待が寄せられている。ただ、このローン減税だけで冷え切った需要が復活してくるかというと、そうはいかない。
需要者が見極めるのは商品(住宅)としての魅力と価格への信頼である。優れた商品でしかもリーズナブルでなければならない。それに税制の恩典が後押しするという順番だろう。供給各社が「ブランド戦略」を重視したのは商品の質と価格への信頼の訴求ではなかったか。
「価格」はわずか半年ほど前まで、用地が跳ね上がり、建設資材も高騰した。その結果が「新価格」や「新々価格」であったが浸透する間もなく崩れ去った。これは金融危機の炸裂という環境要因もあるが、価格に対する市場の拒否反応とみることもできる。勤労者世帯の年収は10年近くも上がらない状況のなかでの価格上昇は命取りとなるのは自明だ。供給側として、価格に対するポリシーや弾力的な対応機能を持つことも課題の一つとして挙げられるだろう。下がってきた用地と建築費
その後、土地も建設資材も相場は一転急降下し、値上がり前の水準に戻しつつあると言われる。今後は、需要側、供給側とも下がった用地、建築費が住宅購入や事業展開の物差しとなる。
マンション事業大転換の時である。立て直しの鍵は在庫物件の販売。完成物件では実質的な値引き販売も行われているが、販売の実も上がっている。手の届く水準まで下がると需要が付いてくることを裏付けている。当面は苦しい局面が続くが、それは需要者の心を捉え、新しいマンション事業への転換を図るために必要な関門でもある。













