不動産取引の意外な誤解 売買編(16) 予約とはどんな契約のことを言うのですか?
住宅新報 2010年8月24日 号 11面
Q
前回のこの紙面で、「仮契約」についての記述を読みましたが、「仮契約」というのは、本契約(正式契約)の締結が義務付けられていない契約のことである、ということが書かれていました。ところが、「予約」はそうではないという意味合いのことが触れられていました。そうすると、「予約」というのは、本契約の締結が義務付けられている契約だということになりますが、そうなのですか。A
その通りです。「予約」については、民法に1条だけ規定が置かれており(民法556条)、次のように定められています。
「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる」
つまり、この民法の定める「一方の予約」(予約当事者の一方だけが予約完結権をもつ予約)は、予約権者が予約完結権を行使すれば、自動的に本契約(正式契約)が成立するということですから、この民法の定める予約は、予約権者の相手方に、本契約を締結させる義務を生じさせるどころか、予約権者の一方的な意思表示により、本契約の効果が生じるように定めているのです。Q
ということは、民法の定めている予約は、予約者の一方に予約完結権を付与しているケースを定めていますが、双方に付与するケースもあるのですか。A
あります。そのような予約を「双方の予約」と言いますが、そのようなかたちの予約であれば、本契約の成立は、より確実なものになるでしょう。Q
この民法に定められている「一方の予約」とか、「双方の予約」以外の予約もあるのですか。A
あります。民法には定められていませんが、一般通念上の予約は、予約当事者が将来本契約を締結するということを、あらかじめ約束することですから、むしろ、そのような予約のことを「普通の予約」とか、「一般の予約」と言って、民法の予約とは区別しています。そして、この、将来本契約を締結したいという申し込みをする権利を有する者が一方の場合を「片務予約」、双方の場合を「双務予約」と言い、それぞれの相手方が本契約の申し込みをした時に、他方に本契約の締結義務が生じるということになります。













