「下戸の建てた蔵はない」 松岡英雄 新住まいのことわざ(28)
住宅新報 2010年8月17日 号 12面
福島県民謡「会津磐梯山」では『小原庄助さん、なんで身上つぶした、朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上つぶした、もっともだもっともだ』と歌われる。身上(しんしょう)は財産のことである。しんじょうと読めば、一身上の都合により…、となる。
飲む、打つ、買う。酒、ばくち、女。昔も今も、男の3大道楽である。道楽はなかなか治らない。『売家と唐様で書く三代目』は、初代が苦労して築き上げた財産も3代目ともなると、道楽・遊芸にふけって財産をつぶし、家を売りに出すようになり、その売家札はいかにも道楽者の嗜みを思わせる唐様のしゃれた書体で書かれてある、と皮肉を込めた川柳である。
酒で身上をつぶすという。それならば、酒の飲めない下戸がその酒代を貯めて蔵を建てたという話はあるのか、酒を飲まずにいても財産ができるものではない、と酒飲みが下戸を揶揄(やゆ)するのである。













