大言小語 輝き失った長寿国
住宅新報 2010年8月17日 号 1面
「日本人の平均寿命は83歳で、世界第1位」。日本が誇っていた長寿国の称号。統計学上は問題ないが、その輝きは失われた。
▼今回の騒動だが、2つのタイプに分けられる。1つは、問題発見の発端となった東京都・足立区のミイラ化して発見されたケース。死体遺棄という犯罪的行為の恐れがある。もう1つは、存命なら既に国内最高齢を超えるのに、何十年も前に失踪してしまい生死が分からなくなっているケース。年金受給権を存続させるためなら悪質だが、家族とのつながりの希薄化という点が気になる。人の存在が尊重されなくなれば、地域社会はおろか国までも成り立たない。「個人情報」を盾に、自らの不作為を正当化する行政と、面倒なことにはかかわりたくないという我々自身の姿もそこに見える。
▼一昔前、居住者が行方不明で住居から異臭がするため、中に入り対処をすることは適切かという国家試験の出題があった。法規上は不適切らしいのだが、プライベートの行き過ぎた尊重という萌芽はその頃からあった。既に現場では、もっと深刻なことが起こっていたというのに。













