不動産取引の意外な誤解 売買編(15) 予約と仮契約は同じですか?
住宅新報 2010年8月10日 号 6面
Q
不動産の仲介をしている者ですが、依頼者の中には、「今すぐには売れないが、1年後になれば売れる」とか、「仮契約はしてもよいが、正式な契約は1年後でないと困る」といった注文を付けるケースがあります。
このような場合、「仮契約」というのはどのような契約になるのか、「予約」と同じような契約になるのかが、よく分かりません。A
予約と仮契約は、厳密には異なるものです。しかし、同じような意味で使われているケースもあります。したがって、仲介をする宅地建物取引業者としては、売主に「仮契約」の意味について十分確認したうえで、取引に当たらなければなりません。Q
予約と仮契約は異なるものだということですが、どのように異なるのですか。A
「予約」については民法に規定があるので、次回に詳しく述べるとして、今回は「仮契約」について申し上げると、予約と仮契約を区別するある裁判例の中で、仮契約書について、次のように述べています。
「売買代金と目的物につき合意に達した後、更に交渉を継続して具体的細部事項を定め、仮契約書の中の各条項を基本的内容とする正式契約を将来締結することを約したもの」とし、その仮契約の効力について、「本契約(正式契約)締結義務は発生しないが、その性質上、互いに売買契約(正式契約)が締結できるように努力すべきその売買契約(正式契約)に盛り込むべき具体的細部事項について誠実に交渉をなすべき義務を負い、正式契約の締結を正当な事由もなく拒否した場合には、債務不履行責任が発生する」Q
そうすると、仮契約というのは、売買の目的物と売買代金という、売買についての骨格については合意に達しているが、正式契約(本契約)をするためには、まだ細部についての詰めが残っているので、その将来の本契約を締結するための詰めの努力義務が双方にあるという内容の契約だと考えてよいですね。A
その通りでよいと思います。したがって、仮契約というのは、(次回に述べる)予約とは異なり、原則として、本契約の締結が義務付けられていない契約だということです。そのような意味で、不動産取引において仮契約書が取り交わされるのは、まだ契約条件のすべは定まっていないが、契約当事者の一方が、その相手方なり目的物を押さえておきたいときなどに用いられます。













