これで宅建が分かる! (14) クーリング・オフの注意点
住宅新報 2010年8月10日 号 6面
宅じい
ついにこの日が来た。宅建試験の受験申し込みは締め切られたのだー!宅美
宅じい、ずいぶん大げさですね。今年の受験者は増えるのかしら?宅じい
インターネットによる申し込みの動向を見ると、横ばいから若干少なめという感じ。郵送申し込みの傾向もおそらく、その位じゃろう。宅美
相手にとって不足はないわ。かかってらっしゃい!宅じい
宅美は、ブッシュ米前大統領か?
戦うのは、他の受験生とではない。己じゃよ。宅美
はーい。宅じい
さて、これまで、民法と宅建業法による規制の違いについて見てきたが、今回もその続きじゃ。クーリング・オフ制度じゃ。宅美
一定期間内なら、無条件白紙撤回ができる制度ですね。よく通販なんかで聞きます。宅じい
さよう。その不動産版という奴じゃな。この制度の趣旨は、購買意思、つまりその物件を買いたいと思ったことが不安定な場所で行われた場合には、契約を解除できるというものじゃ。宅美
クーリング・オフの問題で、よく「テント張りの案内所」って出てきますけど、確かに不安定ですよね。竜巻来たら危ないぞ、みたいな。宅じい
そうした、物理的な不安定ではない!
意思が形成される過程、つまり、買いたいなーと思う気持ちが生まれてきたといっても、業者の事務所で、コワモテのお兄さんに囲まれたりしたら、不安定じゃろ。そうしたことじゃ。宅美
心理的な側面ですね。宅じい
さよう。宅美
宅じい、何だかサザエさんのお父さんの波平みたい。そう言えば、頭も…宅じい
余計なことは言わんでよろしい。ほれ、だから、クーリング・オフの適用がある場所、ない場所をしっかり覚えなくてはいけないんじゃ。民法ではもちろん、そんな規定はない。キャバクラで行われた契約だって、勝手に解除するわけにはいかん。前に学習したとおり、解除権を発生させる必要があるのじゃ。宅美
民法と宅建業法の違いですね。その他、クーリング・オフ制度で気をつけるところはありますか?宅じい
買主がクーリング・オフできるのは、クーリング・オフできる旨を告知された日から「8日以内」だということ。つまり、その告知がなかったら、8日という期限に関係なく、いつまでもクーリング・オフできる。宅美
え、いつまでもですか?宅じい
とはいえ、10年も経ってからいきなり解除というのもおかしいじゃろ。そこで、物件の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったときには、もはやクーリング・オフはできないんじゃ。宅美
なるほど。宅じい
後は、クーリング・オフするには必ず書面で行わなければならない。宅美
え?
じゃあ、8日以内といっても、郵便で届く日を計算しておかないといけないですね。宅じい
いや、この場合は発信主義といって、書面を発したときに効力が生じる。したがって、8日以内にその書面を出せばいい。それから言い忘れていたが、売主である業者がクーリング・オフできる旨を告知する場合も、書面で行う必要がある。こうした所も、民法では諾成契約といって、口約束で契約が成立したり、解除されたりするが、これでは証拠がない。宅建業法はそこを補い、書面化し、特に重要な、契約内容記載書面や重要事項説明書については、取引主任者の記名・押印も必要としておるんじゃ。宅美
いろいろ考えてますね。他にはどうでしょう。宅じい
事務所等において買受けの申し込みをしてから、本契約は事務所等以外の場所で行った場合、この契約はクーリング・オフできるじゃろうか?宅美
購買意思が形成される過程が大事なので、買受けの申し込みをした場所がクーリング・オフできない場所なら、もうできないんじゃ。宅じい
そうじゃな。これは、法37条の2第1項本文但書にも出ておる。では、逆に、買受けの申し込みを事務所等以外の場所でしたが、本契約は事務所等で行った場合はどうじゃ?宅美
うーん?
購買意思が不安定な場所で行われたけど、ひき続いてしっかりした場所で契約したんだから、いいのかしら?宅じい
これは本試験にも出題されたが、先程上げた条文の反対解釈として、クーリング・オフできるというのが正解じゃ。宅美
ところで、宅じい。さっき「発信主義」という用語が出てきましたよね。宅じい
うむ。民法では、隔地者間、つまり離れた場所にいる人と人との間じゃ、この契約の申し込みなどについては、「到達主義」といって、意思表示が到達したときに効力が発生する。それを修正し、発信したときに効力が発生するのが「発信主義」じゃ。宅美
ちょっと分かりにくいので、来週教えてくださいね。ではまたー。













