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スタンダード会員限定政府 新成長戦略で内需拡大 大都市再生と住宅で

住宅新報 2010年8月10日 号 1面

 今後10年の経済政策の指針となる新成長戦略(6月18日に閣議決定)。大都市の国際競争力を高めて「成長のけん引役」とする一方、地方にも地域活性化のために施策を集中する「総合特区制度」を創設。また、内需拡大の柱である住宅・不動産市場の活性化を図るなど、選択と集中を図る中で、都市・住宅・不動産と密接に関係する内容となった。また、7月23日に閣議提出された10年度年次経済財政報告(経済財政白書)。そこでも景気回復の鍵は「家計を中心とした内需拡大」であり、具体的には住宅関連投資の促進を掲げている。経済政策の方向性は明らかで、それに沿った強力な政策出動が待たれる。大都市再生と住宅で

 荒井聡・国家戦略担当相は7月22日、住宅新報社と不動産経済研究所の取材に応じ、新成長戦略の立案・推進に関する考え方を示した。まず、都市の活性化については、「国の成長をけん引するエンジン」と大都市を位置付け、東京などの「大都市の再生を強力に進める」考え。具体的には「国際戦略総合特区」の創設、大都市の成長戦略の策定、インフラ整備のマスタープランの策定、民間都市開発プロジェクトにかかわる規制緩和や金融措置などの施策を集中投入する。一方、地方の活性化では、「やる気と知恵のある人々による地域活性化の取り組みから成功事例をつくる」考えで、自発的な取り組みを支援する「政策パッケージで支援する」方向だ。

 また、住宅市場は、関連産業のすそ野が広く、生産波及効果も大きい。そのため、「内需主導の経済成長実現ためには、住宅市場の活性化が必要」との見方だ。具体的には、中古住宅・リフォーム市場整備のための総合プランの策定、サービス付き高齢者向け住宅の供給拡大などを進める考えだ。また、市場そのものも新築住宅中心の需要から変化する可能性が高いため、「質の高い住宅ストックを形成することが重要」との見解を示した。

 ただ、この20年間、経済が低迷したのは「デフレで内需拡大ができなかったこと」とした上で、「最大の原因は内需の王様である住宅・不動産の冷え込み」と指摘。経済成長のためには、「住宅・不動産市場の活性化が必要」との判断を示した。

 それが、新成長戦略に盛り込まれているわけだが、岩沙弘道・不動産協会理事長を始め、住宅・不動産業界関係者は新成長戦略を高く評価している。

 政府の来年度予算編成作業がこれから本格化するが、我が国経済の活性化を実現するための新成長戦略。それを推進するため、速やかで具体的な政策の実行がいまこそ求められる。経済財政報告

 新たな住宅需要開拓

 住宅需要活性化は、リフォーム、環境、都市の集積が鍵--。

 荒井聡・経済財政担当相は7月23日の閣議に、10年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。白書では、今後の景気回復に向けて、「家計を中心に据えた内需拡大の道を探ることが課題」と指摘。家計を中心とした好循環に向けた1つの要素として、住宅投資やリフォーム活性化策に触れ、環境性能面や立地する都市の集積度合いといった面での質向上、リフォームの潜在需要へのアプローチの必要性に言及している。「新規着工増」

 単身女性が鍵

 住宅市場について白書では、人口減少や高齢化の進展を踏まえた、今後の需要を展望している。

 世帯数、空室率の動向を踏まえた住宅着工は、先行き5年の平均で、世帯数の増加などに対応したストック分の増加が年間35万-41万戸程度、老朽化などによる建替え分が40万-46万戸程度と推計。合わせて、75-87万戸と見通し、中長期的には「着工件数では頭打ちとなる可能性が高い」と予測している。

 そうした中、単身高齢者向け住宅の需要への訴求、加えて、独身で働き続ける割合が高まっている女性向け住宅の需要などへの対応を重要視。「住宅需要は量的には低調な推移が見込まれるが、必要とされる住宅形態に変化が生じ、これが新たな住宅着工につながる可能性もある」としている。「リフォーム需要」

 高齢者に潜在

 リフォーム市場でもやはり高齢者の潜在需要が大きい。リフォーム支出総額の試算を、年齢階層別に見ると、全体が02年以降、緩やかな減少傾向を示す中、65歳以上の高齢者の支出総額は減少しておらず、09年には全体の半分近くを占める。55歳以上の年齢層では、総額の約4分の3。「リフォーム支出は高齢者層に偏在している」という。

 また、内閣府の調査から住宅に対する高齢者の意識を見ると、「身体機能が低下した場合に住居に問題が生じるか」の問いに対し、「非常に問題がある」と「多少問題がある」の合計が4割超。だが、そのための対応として「改築して自宅にとどまりたい」は2割を切る。更に、現在の住宅で感じる問題点を聞くと、「住まいが古くなりいたんでいる」などリフォームで対処可能な問題の割合が5割強に上ったという。

 こうした状況を踏まえ、白書では、「リフォームに消極的であるが、潜在的な需要は十分に存在すると推察される」としている。「長期優良住宅」

 コストアップは2割まで

 「環境」は住宅市場の起爆剤になり得るだろうか。

 省エネ性能に関して、次世代省エネ基準が条件となっている長期優良住宅について、住宅金融支援機構の調査結果を参考に、住宅取得予定者の意思を見ると、「何らかのメリットがあれば10%までのコストアップを許容できる」との回答が9割近くを占めた。続いて、20%のコストアップまでは「許容できる」が6割強、30%までなら4割弱だったという。

 許容するためのメリットとしては「住宅が長持ちする」や「長期的に見て住宅の維持コストが安くなる」などを列挙。こうしたことから、「住宅取得コストの増加は将来の維持コストの低減である程度回収が必要で、環境性能に着目する場合も省エネによるコスト回収が鍵になると推察される」としている。「都市の集積」

 土地負担額低下へ

 都市の集積度合いの変化は住宅市場にどのような影響を与えるか。

 人口集中地区の人口密度と地価上昇率の関係を見ると、人口密度が高いほど、地価の水準は高い傾向にある。更に、中心市街地活性化計画が認定された都市とそうでない都市を比べると、同様の人口密度、都市化率であっても、認定された都市の方が平均的には地価上昇率は高く、「コンパクトシティ化へ向けた取り組みが評価されたことが地価上昇につながったことも考えられる」としている。

 また、白書では、大都市での集積のメリットを拡大させる方法として提案される容積率の緩和と、住宅地の地価の関係を東京都区部のデータを用いて分析。都市計画にあわせて指定される指定容積率が高い地区ほど地価が高い傾向が見られている。ただし、容積率増加により増える床面積を勘案すると、床面積当たりの地価は低くなるという。

 こうしたことから、白書では、「1世帯当たりの土地代の負担額が低下し、建物部分の質の向上に回すことが可能となる」としている。

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