企業の理念を聞く 常日頃(44) ジーマックス社長 榮田秀史 販売のプロが回復宣言 土地付き戸建て チラシに確かな手応え
住宅新報 2010年7月20日 号 9面
社員5人、活気にあふれた不動産会社がある。「良質な住環境を創造する」が企業コンセプトだ。マンションでも戸建てでも、その目標に向かって社員が一丸となって知恵を出し合う。現在は埼玉県内の2カ所で、土地付き戸建て住宅を販売中。売主であるメックエージェントからの専任媒介だが、間取りプランの打ち合わせは、メックとはもちろん、施工の藤島建設とも数えきれないぐらい重ねた。「こんなにいろいろ言ってくる建て売り業者は初めて」と施工会社をして言わしめたほどだ。住宅を売る活力の源を取材した。
榮田氏が、独立して今の会社を興すまでの人生は波瀾万丈、とまではいかないにしても数奇な運命を感じさせる。
社会人としての出発点は大手電鉄会社だった。大学生のとき、東京・自由が丘の寿司屋でアルバイトをしていたが、3年生になった頃、ある常連客から、「まだ就職先が決まっていないなら、一度うちの会社に遊びに来ないか」と声を掛けられた。それが有名電鉄会社の重役だった。
その後数回転職を重ね、独立した当初にも、声を掛けてくれる人がいた。
不動産会社を設立したものの、分譲実績がゼロの会社に融資してくれるところはどこにもない。
「困り果てていたら、お金は出すが、一切口は出さないからやってみろと言ってくれる人がいて、戸建ての分譲現場3カ所まで資金の面倒を見てくれた」
4現場目からは地銀やノンバンクが融資してくれるようになり、事業を軌道に乗せることができたという。人生の転機にあるとき、手を差しのべる人が現れる強運を持っているのだろうか。
独立する前の数社で、住宅営業の基本を徹底的に身に付けた。自分の会社も今年11期目に入った。
その住宅販売のプロが「リーマンショック後、冷え切っていた住宅市場が、ようやく動き始めた。今、折り込みチラシに対する確かな手応えを感じている」と話す。4回に分けた折り込み
具体的には、これまで4段階に分けてチラシを打ってきた埼玉県川口市の<柊(ひいらぎ)の街-川口前川町->の反応がいい。
「3回目までは予告広告という方法を使った。1回目のキャッチコピーは『高いローン払って広い土地が必要?家が広ければいいじゃない!』とした。そして建物面積97平米以上、全4棟が公園予定地の前、2980万円-、近日販売開始--とだけうたった」
「2回目は『7月中旬販売開始予定!今なら建物プランの多少変更可能』とした。3回目は『いよいよ事前申し込み開始!公園前の生活という選択』をキャッチコピーにした。そして4回目に正式な広告チラシを打った。文面は『お待たせしました!いよいよ新発売!2980万円-』として、現地の詳細地図、建物完成パースなども掲載した」
建築確認が下りる前でも、予告広告として『この広告は予告広告であり、販売開始までは契約行為はできません』と明記してあればチラシをまくことができる。こういう地道な販売手法が、企業の信頼確保にも役立っている。押しつけ提案しない
「私たちは、例えば太陽光発電搭載で環境に優しい家をつくりましょうとか、最新の設備を完備したので快適な暮らしが演出できます--とかの押しつけ提案はしません」
「あくまで、そこで繰り返される毎日の生活、家族の幸せだけを考えてプランを立てます。そして『こういうプランを考えましたが、どうでしょうか』と謙虚に提案させてもらいます」
プロとして良質な住まいについての知識を蓄えることと、それを顧客にどう伝えるかのノウハウは別のものということだろう。同じ県内のさいたま市で、もう一つの<柊の街>シリーズ全5棟の販売も始めた。
ライフスタイルやコンセプトの押しつけではなく、住まいの原点について顧客との共感を目指す同社の販売姿勢に注目だ。
(本多
信博)
<会社概要>所在地=東京都千代田区九段北1-9-5-806
設立=01年6月
資本金=3000万円
社員数=5人
電話=03(3239)7552













